【特集:新しいセンサー関連技術】
センサーは高感度化、小型化、フレキシブル化が進み、あらゆるシーンでの計測が可能となってきました。計測すること自体も重要ですが、どこで何を測定し、どの様にデータを活用するかが大切です。
(報告書、記事、サイト等)
■社会課題対応センサーシステム開発プロジェクト
センサネットワークに使用されるセンサデバイスの共通的な課題である、無線通信機能、自立電源機能及び超低消費電力機能の搭載を実現する革新的センサの開発を行い、センサネットワークの導入による、環境計測やエネルギー消費量等の把握(見える化)及びエネルギー消費量の制御(最適化)により、低炭素社会の実現に寄与することを目的としたプロジェクトです。
(産総研関係)
■橋梁のひずみ分布をモニタリングできるセンサーシートを開発 -貼るだけで橋梁の劣化状態を把握できるフレキシブル面パターンセンサー-
産総研などは、橋梁のひずみ分布をモニタリングするセンサーシートを開発しました。圧電MEMS技術で作製した極薄PZT/Siひずみセンサーをフレキシブル基板上に集積化したもので、接着フィルムで橋梁構造体表面に貼り付けるだけで、車両通過に伴う橋梁の動ひずみ分布をモニタリングできました。
■光子一つが見える「光子顕微鏡」を世界で初めて開発 -光学顕微鏡で観測できない極めて弱い光で撮影が可能-
産総研は、超伝導光センサーを顕微鏡の光検出器として用いて、従来の光学顕微鏡の検出限界を大幅に超える「光子顕微鏡」を開発し、光子数個程度の極めて弱い光でカラー画像の撮影に世界で初めて成功しました。生体細胞の発光観察や微量化学物質の蛍光分析など、医療・バイオ、半導体分野での利用が期待されます。
■メタル型光スキャナを用いた測距センサを開発:優れた耐久性と大面積検知を実現 -大面積ディスプレイ、デジタルサイネージ用タッチパネルや人感検知センサに適用可能-
産総研などは、メタルミラーの特性を活かし、低コストで従来にない大面積の広角検知が行えるTOF方式の測距センサを開発しました。広角走査のメタルミラーを用いることで大角度の走査を行い、大きなサイズのミラーでより遠い物体からの反射光を検出することによって大面積の検知を実現しました。
■インフラ点検ロボットに搭載できる高エネルギーX線非破壊検査装置を開発 -ポータブルバッテリーで駆動し、インフラ構造物などを現場で容易に非破壊検査-
産総研などは、バッテリーで駆動するロボットに搭載できる小型で軽量の高エネルギーX線非破壊検査装置を開発しました。インフラ構造物などを効率的に非破壊検査を行えるようになり、老朽化による事故を低減し安全安心な社会の実現への貢献が期待されます。
■極めて低濃度のウイルスを簡便に検出できるバイオセンサーを開発 -ウイルス粒子を光と動きで検出-
産総研は、夾雑物を含む試料中のごく少量のウイルスなどのバイオ物質を、夾雑物を除去しないでも高感度に検出できる外力支援型近接場照明バイオセンサーを開発しました。環境中のごく微量のウイルスを簡便に検出でき、ウイルス感染予防への貢献が期待されます。(投稿済み)
■農産物の水分量を電磁波で簡便に計測する技術を開発 -生産現場での農産物の品質管理が容易に-
産総研は、電磁波を用いて農産物の水分量を非破壊で簡便に計測する技術を開発しました。包装や箱詰めされた状態でも水分量を計測でき、生産現場での農産物の選別や品質管理が容易になることが期待されます。(投稿済み)
■ポータブルなクランプ型精密電流計を開発 -高精度な直流電流計測が容易に-
産総研などは、60 Aまでの直流電流をクランプ型の電流センサーで精密に測定できるポータブル電流計を開発しました。電気自動車の開発やデータセンターの消費電力モニタリングなどでの利用が期待されます。
■水素ステーション用蓄圧器の損傷評価技術を開発 -蓄圧器内側の疲労き裂を外観検査により可視化-
産総研などは、蓄圧器外表面に接着した応力発光シートセンサーの発光分布を撮影することで、蓄圧器内面の損傷を2次元的に可視化できる技術を開発しました。水素ステーションや高圧設備の安全性への貢献が期待されます。
■簡便・高速に複屈折を定量イメージングできる小型装置を開発 -製品製造ラインや研究現場での活用に期待-
産総研などは、試料の複屈折の大きさやムラを定量的に可視化できる簡便な技術を開発し、高精度・高分解能の計測ができる小型の試作機を製作しました。試料を回転させる必要がなく、1回の画像撮影だけで計測できるため、様々な製造現場で行われる品質管理のためのインライン検査に使用できます。
■人の動きや呼吸を見守る静電容量型フィルム状近接センサー -床やベッドの裏に貼って使う非接触人感センサーとその印刷作製法を開発-
産総研などは、非接触式の静電容量型フィルム状近接センサーを人の目に触れない場所に貼るだけで、人の動きや呼吸を検出できる技術を開発しました。センサーはスクリーンオフセット印刷技術で簡便に作製可能であり、使用者に精神的・肉体的負担をかけない見守りシステムの実用化が期待できます。(投稿済み)
■高感度テラヘルツ波パワーセンサーを開発 -数十ナノワットレベルまで正確な測定が可能に-
産総研は、熱電変換素子を用いてテラヘルツ波パワーを高感度で測定できるセンサーを開発しました。常温で数十ナノワットレベルの定量的測定が可能で、超高速無線通信や材料分析などのテラヘルツ波応用技術の信頼性向上や高度化が期待されます。
■呼気で肺がんのスクリーニング -健康管理のための呼気ガスセンシングシステムの開発-
産総研などは、ガス種選択性に優れた熱電式水素センサー素子を用いて直接呼気中の水素ガス濃度を測定できる呼気水素検知器プロトタイプを試作し、水素ガス濃度と健康状態・生活習慣との相関を明らかにしました。呼気水素濃度分析の健康管理への応用が期待されます。
■牛の霜降り状態を計測できる核磁気共鳴スキャナーを開発 -生きている牛の計測が可能に-
産総研は、肉用牛の僧帽筋の霜降りの程度を牛が生きたままの状態で計測できる核磁気共鳴装置のプロトタイプを開発しました。約10秒で、筋肉中の水分量と脂肪量を±約10 wt%の誤差で計測可能で、牧場でのより効率的な肥育プログラムの改善や競り市でのより正確な価格評価への応用が期待されます。
■ウェアラブルデバイスの耐久性を劇的に向上させる高伸縮性導電配線を開発 -伸縮自在で体にフィットする圧力センサーシートへの応用を実現-
産総研は、導電性繊維をバネ状に形成した高伸縮性バネ状導電配線を開発しました。各種の高伸縮性センサーシートにも応用できると考えられ、快適で信頼性の高いウェアラブルデバイスや心拍・血流センサーなどの医療・ヘルスケアデバイス実現への貢献が期待されます。
■赤外線カラー暗視カメラ用の撮像素子を開発 -手のひらサイズの小型カメラでカラー暗視撮影-
産総研などは、単板方式の赤外線カラー暗視撮影を実現する撮像素子を開発しました。撮影装置の小型化や量産による低価格化も可能であり、赤外線カラー暗視撮影技術の適用範囲の拡大や新規アプリケーションの開拓などが期待されます。
■スマートデバイスで操作できる超小型バイオセンシングシステム -臨床でのポイントオブケア検査や在宅健康管理への展開に期待-
産総研は、スマートデバイスで無線操作できる超小型バイオセンシングシステムを開発しました。タンパク質やホルモンなどの生体物質の検出に応用でき、臨床現場でのポイントオブケア検査や小規模医療施設におけるスクリーニングテスト、在宅での日常的な健康管理への応用が期待されます。
(学会、その他)
■公益社団法人 計測自動制御学会
計測・制御・システムの中核学会として、①諸分野を横断して知を究め、新しい価値を創造し、②関連分野・産学官のハブとなり、発信・連携することで、社会的課題の抽出・解決に貢献することを使命としています。
■一般社団法人 次世代センサ協議会
本協議会は、1989年に日本国内の横断的なセンサ・アクチュエータ研究・開発を発展させるため、「センサ技術の普及と発展」を目的に発足し、主として大学、研究機関、メーカ、ユーザの研究者、技術者に対し、ニーズとシーズの出会い、異なる組織間の情報交換の場として貢献しています。
■1兆個のセンサによる社会変革 ~トリリオン・センサ・サミット2015報告~
日本政策投資銀行による資料であり、拡大するセンサ需要、トリリオン・センサ・サミットでの講演概要、センサ種類別の日本の優劣、IoT時代のセンサメーカー戦略などが記されています。