農林水産省は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)との共同研究の成果として、AI(人工知能)により人工衛星画像等を解析し、形状変化のあった筆ポリゴンを含む区画を抽出する手法を開発しました。
これにより、従来は5年を要していた筆ポリゴンの更新が1年で可能となり、農地情報のデジタルインフラとして、スマート農業の推進やデータ駆動型の農業経営の実現に大きく貢献することとなります。
筆ポリゴンとは、耕地面積調査等の母集団情報として、全国の土地を隙間なく200メートル四方(北海道は400メートル四方)の区画に区分し、そのうち耕地が存在する約290万区画について衛星画像等をもとに、ほ場ごとの形状に沿って作成した農地の区画情報です。平成31年4月よりオープンデータとして幅広く提供を開始しています(令和2年6月末までに1,300件以上のダウンロード実績)。
筆ポリゴン(全国約3,000万筆)の更新は、これまで職員等が目視で衛星画像等を確認して行っていたため、1年間に更新ができる筆ポリゴンは全国の5分の1程度に留まっていました。
このため、農林水産省は、産総研と共同研究契約を締結し、AIを活用して、時期の異なる衛星画像データを比較・解析し、形状の変化を特定する手法を開発しました。
この手法を活用し、令和2年度から全国の筆ポリゴンを毎年最新の情報にアップデートする取組を開始します。
筆ポリゴンは、これまではスマート農業への活用等の目的で民間企業や大学・研究機関等で利用されていますが、農地情報のデジタルインフラとして毎年最新の筆ポリゴンが提供可能となることで、営農されている農家の方々にとって実用性の高いものとなり、衛星画像等を活用したほ場ごとの栽培管理の省力化など、スマート農業の推進やデータ駆動型の農業経営の実現に大きく貢献することとなります。
令和2年度から、産総研と新たな共同研究契約を締結し、「画像解析による農地の区画ごとの作付状況の把握手法の開発」に取り組みます。
これは、産総研が有する最先端のAIの機械学習技術を用いて、小型人工衛星により高頻度で撮影した衛星画像データを解析し、農地の区画ごとの作付状況の判別を試みるもので、職員等が実施している統計調査における現場実測作業の効率化等に貢献することが期待されます。