気象庁では、本年6月25日より、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)のひずみ計データを新たに活用し、南海トラフ沿いにおける地殻変動監視を強化するとともに、南海トラフ地震に関連する情報の発表の迅速化を図ります。
南海トラフ沿いのプレート境界では、通常の地震よりもはるかに遅い速度でゆっくりとプレートがずれ動く「ゆっくりすべり」が発生することがあり、大規模地震の発生に関連性があるものと考えられています。
気象庁ではこれまで、「ゆっくりすべり」の常時監視を東海地域に設置したひずみ計を用いて行ってきましたが、今般、産総研が運用する愛知県、三重県、和歌山県、愛媛県、高知県のひずみ計(12観測点)のデータをリアルタイムで活用できるようになったことから、本年6月25日11時より、これらのデータを南海トラフ沿いにおける「ゆっくりすべり」の常時監視に活用します。
これにより、南海トラフ全域において、「ゆっくりすべり」の発生を早期かつ広範囲に検知できるようになり、南海トラフ地震に関連する情報をより迅速に発表することが可能となります。
気象庁では今後も、産総研の解析技術などの研究成果を取り入れ、南海トラフ沿いにおける異常な現象の検知・解析技術の高度化に取り組んでまいります。
【南海トラフ地震に関連する情報について】
気象庁ホームページの「南海トラフ地震に関連する情報」のページ(以下URL)で解説しています。
https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/info_criterion.html
また「ゆっくりすべり」については下記のページをご覧ください。
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/nteqword.html
○新たに常時監視の対象とする産総研のひずみ計を用いた観測点
愛知県 |
豊橋多米 (とよはしため)
豊田神殿 (とよたかんどの)
西尾善明 (にしおぜんみょう) |
三重県 |
津安濃 (つあのう)
熊野磯崎 (くまのいそざき) |
和歌山県 |
田辺本宮 (たなべほんぐう)
串本津荷 (くしもとつが) |
愛媛県 |
新居浜黒島 (にいはまくろしま)
西予宇和 (せいようわ) |
高知県 |
室戸岬 (むろとみさき)
須崎大谷 (すさきおおたに)
土佐清水松尾 (とさしみずまつお) |
図 南海トラフ沿いのゆっくりすべり監視に用いるひずみ計観測点