株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)が、国立大学法人東京大学(総長:五神 真/以下、東京大学)、国立研究開発法人産業技術総合研究所(理事長:中鉢 良治/以下、産総研)と共同で提案した、位置情報へのデータアクセス仕様「Moving Features Access」*1が、地理空間情報の国際標準化団体Open Geospatial Consortium(以下、OGC)*2の標準仕様として採択されました。Moving Features Accessは、人や車などの移動体(Moving Features)に関するビッグデータを、業界横断で迅速かつ高度に処理・分析することができるよう、データアクセス仕様を国際標準として規定したものです。
従来、特定の時間を指定して移動体の位置情報へアクセスする仕様はISO*3により標準化されていましたが、今回は、時間に加えて場所を指定してデータへアクセスする仕様を標準化しました。これにより、例えば、災害時に特定の時間に特定の場所を通過した移動体のデータへアクセスし、人や車の密度や滞留に関する情報をよりタイムリーかつ広範囲の業界から収集することが可能になり、被害の経過に応じた避難誘導や物資輸送の計画立案のさらなる迅速化、精密化が期待されます。また、都市部における渋滞緩和策への活用などにより、市民生活の利便性向上を図ることができます。
現在、通信事業者や自動車会社などが保有する人や車の位置情報を横断的に分析しようとしても、データアクセス仕様に違いがあるため、迅速な情報活用が困難な状況にあります。これまで、日立、東京大学、産総研は、長く地理空間情報に関わる標準化活動に携わってきた中で、上記の問題の重要性を認識し、その解決に向けた日立の提案にもとづき、2013年3月にOGCに移動体の位置情報に関する標準化ワーキンググループが設立されました。このワーキンググループにおいて、位置情報の活用事例を集めながら議論を重ね、位置情報へのデータアクセス仕様「Moving Features Access」を規定し、このたびOGC標準に採択されました。
OGC Moving Features Accessの特長は以下の通りです。
従来、ISOにより、時間を指定して位置情報にアクセスし、移動体の位置や速度などを求める仕様は標準化されていました。今回は新たに、時間と場所を指定してデータにアクセスする仕様を標準化しました。アクセス仕様の統一名称や、当該仕様でどのようなデータにアクセスできるかを規定しており、具体的には、人と車の密度や滞留を求めるために必要な、特定の時間帯に特定の場所を通過した移動体のデータや、あるいは特定の時間帯に特定の移動体に接近した移動体のデータなどへのアクセス仕様をそれぞれ標準化しました。
また、時間のみを指定してデータへアクセスする既存の仕様についても、業界横断での活用を促進するため、名称の統一と当該仕様でアクセスできるデータ内容を規定しました。
今回新たに規定したデータアクセス仕様は、既にOGCで採択されたデータ記録様式の国際標準OGC Moving Features Encodingに沿って規定しています。これにより、異なる業界が保有する位置情報を相互に交換することが可能になります。
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図:標準化による位置情報の横断的な利用イメージに関する図 |
今後は、災害時の被災者支援に加え、大都市の混雑緩和のための交通需要把握など、市民生活の利便性を向上させるべく、OGC Moving Features AccessとOGC Moving Features Encodingを活用したオープンイノベーションを推進します。
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OGC Moving Featuresのホームページ
http://www.opengeospatial.org/standards/movingfeatures/