独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長:吉川 弘之】のバイオインフォマティックス(生命情報科学)研究組織である生命情報科学研究センター【センター長:秋山 泰 Computational Biology Research Center, 以下 産総研CBRC】 と日本電気株式会社【代表取締役社長:西垣 浩司,以下NEC】は、このたび、産総研CBRCが所有する世界最大級のバイオインフォマティックス向け並列PCクラスタシステムにおいて、Linpackベンチマークテスト(注1)で654ギガフロップス(GFLOPS)という、Pentiumプロセッサ搭載の商用PCサーバによるクラスタシステムとしては、世界最高の演算性能を達成(注2)した。
本システムは、産総研CBRCが導入した1,040CPUを接続した大規模PCクラスタシステムであり、各ノードにはNECの「Express5800シリーズ」の薄型ラックマウントサーバをベースに、ノード間のインターコネクトとしては毎秒4ギガビット(Gbps)の高速通信を実現するMyrinet(ミリネット)(注3)を採用している。
また、大量の生命情報データベースをメモリ上で直接扱う要請からシステム全体で532ギガバイト(GB)のメモリを搭載し、さらに効率的な並列処理を行うためのシステムソフトウェアとして、技術研究組合 新情報処理開発機構【理事長:秋草 直之Real World Computing Partnership,以下 RWCP】が開発した「SCore(エスコア)クラスタシステムソフトウェア」(注4)を搭載している。
本クラスタシステムは「Magi(マギ)システム」と名付けられ、産総研の先端情報計算センター(注5)内に設置、運用されており、ネットワーク経由で産総研臨海副都心センターに本拠をおく産総研CBRCから専用利用する形式を取っている。
主な利用領域としては、分子シミュレーション、ゲノム情報からの遺伝子発見、画像処理による分子構造解析などの研究に幅広く活発に利用されているほか、産総研CBRCとNECが平成13年8月から2年間を目処に行う『バイオインフォマティックスにおける共同研究【平成13年8月6日NECからプレスリリース】』の中核プラットフォームとしても利用している。
近年、PCやPCサーバなどを構成要素としたノードをネットワークで複数台接続し並列処理を行うPCクラスタシステムは、ノードやネットワークの性能向上にともない性能が飛躍的に向上してる。ゲノム解析、タンパク質構造解析など、大量データの検索や解析に高速な処理が必要とされるバイオインフォマティックスにおいては、PCクラスタシステムの積極的な導入が行われている。今回、記録した654ギガフロップス(GFLOPS)という実測性能はPCクラスタが、スーパーコンピューターに匹敵する性能を有することを実証したものであり、バイオインフォマティックスにおける更なる利用促進や、将来の数千台規模の超大規模クラスタシステム実現への可能性を開いたものである。
産総研CBRCとNECは今後も、世界最速・最先端のPCクラスタシステムを駆使し、バイオインフォマテックス領域における共同研究を積極的に進める予定である。
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産総研CBRC Magi システム/
Express5800 Parallel PC-Cluster
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