産総研:技術研究組合 リチウムイオン電池材料評価研究センター理事長 吉野 彰 博士がノーベル化学賞受賞

 2019年10月9日、スウェーデン王立科学アカデミーは、ノーベル化学賞を技術研究組合 リチウムイオン電池材料評価研究センター(Consortium for Lithium Ion Battery Technology and Evaluation Center、以下「LIBTEC」)理事長の吉野 彰(よしの あきら)博士、他2名に授与することを発表しました。リチウムイオン電池に関する一連の先駆的な研究が評価されました。吉野博士は、2010年より産業技術総合研究所に拠点を有する技術研究組合LIBTECの理事長に就任されています。

研究内容

吉野彰 技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター理事長
吉野 彰
技術研究組合
リチウムイオン電池材料評価研究センター理事長

 今回の受賞は、吉野 彰 博士のリチウムイオン二次電池(Lithium Ion Battery、以下「LIB」)に関する先駆的な研究と、それに続く傑出した技術開発成果が評価されたものです。

 吉野博士は、負極にカーボン、正極にLiCoO2(コバルト酸リチウム)を使用することにより、現在のLIBの原型となる二次電池を1983年に世界で初めて考案し、製作しました。その後、正極の集電体にアルミニウム(Al)を使用するというLIBの基本技術開発を行うと共に、LIBの実用化に欠かせない電極化技術、電池化技術、周辺技術開発を重ね、1991年に小型・軽量の新型LIBを実用化しました。

 吉野博士が実用化したLIBは、現在の携帯電話やノート型パソコン等のIT機器に使われ、それらの世界的な普及に大きく貢献してきましたが、今後、電気自動車等の新規市場へと用途がますます広がっていくものと期待されています。


理事長メッセージ

吉野 彰 博士のノーベル化学賞 受賞に寄せて

 本日、産業技術総合研究所に拠点を有する技術研究組合LIBTEC理事長の吉野 彰(よしのあきら)博士が、ノーベル化学賞を受賞されました。吉野博士は、2010年よりLIBTECの理事長に就任されています。

 今回の受賞は、吉野博士のLIBに関する先駆的な研究と、それに続く傑出した技術開発成果が評価されたものです。吉野博士は、負極にカーボン、正極にLiCoO2(コバルト酸リチウム)を使用することにより、現在のLIBの原型となる二次電池を世界で初めて考案し、製作されました。また、正極の集電体にアルミニウム(Al)を使用するLIBの基本技術を開発すると共に、LIBの実用化に欠かせない電極化技術、電池化技術、周辺技術の開発を重ね、小型・軽量の新型LIBを実用化されました。

 吉野博士のこの度の受賞は、LIBの実用化、高性能化に注力する当研究所といたしましても、大きな喜びであります。また私個人もソニー時代、LIB開発責任者だった西美緒博士とともにお会いする機会があり、博士の偉大な成果についてはよく存じ上げております。

 吉野博士の功績に敬意を表し、今回のご受賞を心よりお祝い申し上げます。

2019年10月9日
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
理事長 中鉢 良治

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