受賞

2022/10/25

令和4年度産業標準化事業表彰を受賞

令和4年10月21日に経済産業省より本年度産業標準化事業表彰の受賞者が発表され、「産業標準化事業表彰(経済産業大臣表彰)」を伊藤 智(元 情報・人間工学領域 情報・人間工学領域研究戦略部長)、伊藤 日出男(情報・人間工学領域 人間情報インタラクション研究部門 名誉リサーチャー)、大久保 雅隆(エレクトロニクス・製造領域 連携推進室 上席イノベーションコーディネータ)、山田 朝彦(情報・人間工学領域 サイバーフィジカルセキュリティ研究センター 招聘研究員)および小池 昌義(元 計量標準総合センター 計測標準研究部門 標準物質システム科 科長)が受賞しました。

また、「産業標準化貢献者表彰(産業技術環境局長表彰)」を岩田 拡也(情報・人間工学領域 インダストリアルCPS研究センター 主任研究員)、蔵田 武志(情報・人間工学領域 人間拡張研究センター 副研究センター長)、竹歳 尚之(計量標準総合センター 計量標準普及センター センター長)の三名が、「国際標準化奨励者表彰(産業技術環境局長表彰)」を竹下 潤一(エネルギー・環境領域 安全科学研究部門 主任研究員)、渡辺 健太郎(情報・人間工学領域 人間拡張研究センター 上級主任研究員)の二名が受賞しました。

経済産業省が主催する表彰式が、令和4年10月24日に東京都千代田区の都市センターホテルにて行われました。

受賞者の写真

受賞者写真
(左から岩田 拡也、渡辺 健太郎、山田 朝彦、竹歳 尚之、蔵田 武志、竹下 潤一)


 

産業標準化事業表彰(経済産業大臣表彰)

受賞者

伊藤 智(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術戦略研究センター デジタルイノベーションユニット長、元 情報・人間工学領域 情報・人間工学領域研究戦略部長)

主な功績

ISO/IEC JTC 1(情報技術)への日本代表団長として、ITの重要分野であるIoT、AI、量子計算などの国際標準化を担うSC やWG の立ち上げに貢献、国内委員会の組織化や委員長の選定など国内体制を整えた。また、ITの規格活用が広がるISOやIECの応用分野との連携や、規格開発期間の短縮など、JTC 1の運営、将来計画、補足指針の整備を進めるJTC 1総会や傘下のサブグループに精力的に参加、IT分野の標準化に貢献。更に、JTC 1の国内審議団体である(一社)情報処理学会情報規格調査会の委員長としてJTC 1および傘下のSCの活動、およびJIS原案作成を統括。

 
受賞者

伊藤 日出男(公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構 福島ロボットテストフィールド 技術部長、情報・人間工学領域 人間情報インタラクション研究部門 名誉リサーチャー)

主な功績

日本提案文書のIEC 62496-4-1(インタフェース規格-一列12チャネルPMTコネクタを使用する終端導波路OCBアセンブリ)を2019年に、IEC62496-4-214(インタフェース規格-一列32チャネル対称PMTコネクタを使用する終端導波路OCBアセンブリ)を2020年に発行させた。発行した規格はいずれも光導波路の高密度接続のための高分子光導波路用MTコネクタの規格で、1個のコネクタで前者は12芯、後者は32芯の光導波路を接続する規格である。今後の近距離光信号接続では光ファイバだけでなく、光導波路による光信号伝送が飛躍的に拡大することが想定されており、これらの規格の制定により、当該規格に基づくコネクタの製品化と普及が加速され、次世代大規模データセンタや次世代スーパーコンピュータなどの性能の飛躍的改善が期待できる。

 
受賞者

大久保 雅隆(エレクトロニクス・製造領域 連携推進室 上席イノベーションコーディネータ)

主な功績

2005年にIEC/TC90(超電導)超電導エレクトロニクス技術国内委員会を立ち上げ、2010年のTC90総会にて超電導センサおよび検出器の規格制定の重要性を主張し、WG14(超伝導エレクトロニクスデバイス)を新設、コンビーナに就任。当時、センサの規格化に強い関心を持つIEEE(米国電気電子学会)と共同で、超電導センサおよび検出器の通則であるIEC 61788-22-1を発行。TC90の規格の対象を超電導エレクトロニクス全般に拡大し、量子コンピュータ等の基本となるジョセフソン接合素子の性能評価法など規格2件、関連する電気用図記号を発行。超電導エレクトロニクスは、グリーン社会、スマート情報社会、資源探査、医療診断、安全保障等における基幹機器として重要であり、その標準化活動は、革新的産業創出を促す。

 
受賞者

山田 朝彦(情報・人間工学領域 サイバーフィジカルセキュリティ研究センター 招聘研究員)

主な功績

情報セキュリティとバイオメトリクスの境界領域を中心に、ISO/IEC JTC1(情報技術)のSC27(情報セキュリティ)、SC37(バイオメトリクス)、SC41(インターネット・オブ・シングスとデジタルツイン)の国際標準化活動に17年貢献。16件のプロジェクトエディタを担当し日本発の技術成果を実用に適した形で国際標準化・発行。経済産業省事業成果を適用したISO/IEC 19989(情報セキュリティ-生体認証システムのセキュリティ評価の基準と方法論)シリーズは、従来の規格では実施できなかったバイオメトリクス製品のセキュリティ評価認証を可能としスマートフォン上の製品への適用が開始、客観的な商品選択に寄与。SC37国内委員会委員長としては委員会運営の改善及び国際会議招致に貢献。

 
受賞者

小池 昌義(元 計量標準総合センター 計測標準研究部門 標準物質システム科 科長)

主な功績

ISO/TC69(統計的方法の適用)/SC8(新技術及び製品開発のための統計的手法の応用)/WG3(最適化)のコンビーナとして、日本発の品質工学の考え方(タグチメソッド)の日本発のISO を開発しグローバルに展開することにより、製品開発・製造プロセスの効率化、コスト削減、品質の向上を実現するとともに、日本のプレゼンス向上への貢献は大。品質工学及び計測工学をベースとしたJIS開発にも尽力し、例えば、JIS Z 8103(計測用語)の開発では委員長としてISO/IEC Guide 99(国際計計測用語―基本及び一般概念並びに関連用語)を取り込み、幅広い産業分野の計測の基礎となる用語規格を確立した貢献は大。

 

産業標準化貢献者表彰(産業技術環境局長表彰)

受賞者

岩田 拡也(情報・人間工学領域 インダストリアルCPS研究センター 主任研究員)

主な功績

ドローンの国際標準化を推進しているISO/TC20(航空機及び宇宙機)/SC16(無人航空機システム)のWG3(オペレーション)日本代表委員任期中に、自ら原案を作成し日本よりNP提案したISO 23665(無人航空機システム-UAS 運用に関与する要員のトレーニング)が2021年2月に発行された。これは、日本提案による初のドローンのISO国際標準となった。ドローン教育の標準化は、社会が許容するリスクレベルを教育し、許容リスク内での飛行をトレーニングにより身に付けることで、大きな事故なく社会に受容される形でドローン活用が拡大し産業振興に繋がっている。

 
受賞者

蔵田 武志(情報・人間工学領域 人間拡張研究センター 副研究センター長)

主な功績

日本が高い技術力、優秀な人材、活発なコミュニティを有し、テレワーク、メタバースなどで急成長中のVR・AR・MRなどXR分野の主要技術となる画像による空間位置合わせ技術の性能評価に関する活動に貢献、プロジェクトリーダーとして国際規格策定を主導。その活動母体のISO/IEC JTC1(情報技術)/SC24(コンピュータグラフィクス、画像処理及び環境データ表現)の委員、国内委員会委員長を務め、当該分野の規格策定及び審議に数多く貢献。さらにデジタルツイン実現に欠かせない屋内測位技術の性能評価と普及促進のための産学官活動母体を設立。国際競技会開催を通じて評価指標・データセット等の標準基盤を整備。

 
受賞者

竹歳 尚之(計量標準総合センター 計量標準普及センター センター長)

主な功績

ISO/TC229(ナノテクノロジー)国内審議委員会幹事を9年間務め、委員会運営を主導するとともに、国内啓発のために毎年ワークショップを企画し、情報発信に努めたのみならず、国際議長の日本への招聘や京都と東京での各々約70名規模の中間会合の調整を主導、日本のナノテクへの関心と技術の高さを海外にアピールし、当該分野における国際的なプレゼンス向上に貢献。また、同TC/JWG2(計測)において、セクレタリとして着実な会議運営を行い、海外の規制にも参照されることが期待されるナノ物体の特性評価法を扱った21件の規格発行・維持に貢献。この間、会議運営の効率化にも貢献、他のWG にも好影響を与えた。

 

国際標準化奨励者表彰(産業技術環境局長表彰)

受賞者

竹下 潤一(エネルギー・環境領域 安全科学研究部門 主任研究員)

主な功績

ISO/TC69(統計的方法の適用)/SC6(測定方法及び測定結果)の国内幹事として、分析や検査を伴う多くの産業分野で利用されるISO5725(測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度))改訂の委員会資料、日本コメント草案を作成。国際会議にはエキスパートとして毎年参加、当該重要規格の改訂と日本意見の反映にも大いに貢献。TC34(食品)、TC147(水質)、感染症検査・工業製品検査・化学物質検出等を行う団体での利用が見込まれるTR27877(2 値の測定方法とその結果の精度評価のための統計的方法)のPLを担当。仏が発行を断念した経緯もあり、本TR発行の成功は日本のプレゼンス向上とTC69/SC6への貢献大。

 
受賞者

渡辺健太郎(情報・人間工学領域 人間拡張研究センター 上級主任研究員)

主な功績

ISO/TC324(シェアリングエコノミー)において、WG2(プラットフォームの運用)のコンビーナ兼プロジェクトリーダーを務め、国内モデルガイドラインを基礎とするプラットフォーム事業者が順守すべき事項を規定したISO/TS42501(シェアリングエコノミーーデジタルプラットフォームの一般的な信頼性・安全性要求事項)の開発を主導。また同規格と密接に関連する他海外審議案件に関しても、日本代表HoD及びエキスパートとして我が国意見の反映などに尽力、ISO42500(シェアリングエコノミー―一般原則)の発行に大きく貢献。シェアリングエコノミーの国際ルールが存在しない中、世界各国に安心安全な仕組みの構築を促す国際ルール形成を主導したその功績は大。