産業技術総合研究所が開発したアザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」が第10回ロボット大賞記念特別賞を受賞しました。記念特別賞は第10回を記念して、第1回~第9回までの受賞案件の中から、大きな社会的インパクトを与え、業界の変革につながったロボット等に授与されるものです。
「ロボット大賞」は、日本のロボット技術の発展や社会実装を促進することを目的として、ロボットの先進的な活用や研究開発、人材育成といった様々な分野において、優れた取組を実施した企業等を表彰する制度です。2006年度に第1回を開催し、2008年度からは隔年での開催を続け、今回が10回目の開催となります。
第10回ロボット大賞の表彰式および合同展示は、「Japan Robot Week 2022」(2020年10月19日(水)~21日(金)、東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1)西3・4ホール)の会場内において実施予定です。
記念特別賞
アザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」(第1回ロボット⼤賞優秀賞受賞)
【株式会社知能システム/国立研究開発法⼈産業技術総合研究所/マイクロジェニックス株式会社】
概要
第1回(2006年)ロボット⼤賞のサービスロボット部⾨で優秀賞を受賞。⼀般家庭でのペット代替や医療福祉施設におけるセラピーを⽬的とするロボット。全⾝を覆う⾯触覚センサなど多種多様なセンサ、静穏型アクチュエータによる滑らかな動作、⼈⼯知能による⾃律⾏動、名前や⾏動の学習機能を有している。
評価のポイント
少⼦⾼齢化の影響により⼈⼿不⾜が深刻化するなか、認知症⾼齢者の増加は世界共通の課題でもある。2002年、世界で初めてロボット技術を活⽤してセラピー効果が認められたパロは、⽇本が誇れる介護ロボットであり、かつ国際的にも評価されている。また、製造はすべて⽇本国内で⼿作りされ、20年にわたり多くの国々で利⽤されていることも評価された。(経済産業省ウェブサイトより抜粋)
開発した人間情報インタラクション研究部門 柴田崇徳上級主任研究員のコメント
1993年から研究開発を始めたパロは、一般家庭での「ペット」代替だけではなく、医療福祉分野での「セラピー」を目的にしています。
国内外の多くの医療福祉機関や研究者と連携し、パロの安全性と効果の検証を行い、10件以上のランダム化比較試験の結果等、長年かかってエビデンスを蓄積できてきたことが、国内外の医療福祉制度の中で組み込まれて活用され始めたことにつながったと思います。
その結果、パロが世界各国での高齢化社会における「認知症対策」に貢献したり、震災や紛争の被災者や避難者の「心の支援」に貢献したり等、パロを活用することが社会課題解決の一助になったことを認めて頂けたことが今回の受賞に至ったと嬉しく思い、ご支援・ご指導を頂いた関係者の皆様に感謝したいと思います。
パロを持つ柴田崇徳上級主任研究員