令和3年12月14日に生物プロセス研究部門 生物資源情報基盤研究グループのMasaru K. Nobu (延 優) 主任研究員が、文部科学省科学技術・学術政策研究所により「科学技術への顕著な貢献 2021(ナイスステップな研究者)」に選定されました。
科学技術・学術政策研究所では、2005 年より科学技術イノベーションの様々な分野において活躍され、日本に元気を与えてくれる方々を「ナイスステップな研究者」として選定しており、これらの方々の活躍は科学技術に対する夢を国民に与えてくれるとともに、我が国の科学技術イノベーションの向上に貢献するものです。
テーマ:「真核生物誕生の謎に挑む ―新たな進化モデルの提唱―」
内容: Masaru K. Nobu 主任研究員は、国立研究開発法人海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門 井町寛之 主任研究員とともに、有人潜水調査船「しんかい 6500」で採取した深海堆積物から、真核生物の誕生に関連するとされるアスガルド類アーキア(古細菌) の純粋培養に、10年以上もの歳月をかけて世界で初めて成功しました。また、培養株の特徴やゲノム情報に基づき、原核生物からの真核生物誕生に関する新たな説 (E3モデル) を提唱しました。本研究は、bioRxiv でプレプリントが発表されるや否や大反響を呼び、Nature に掲載される前にも関わらず、2019 年 Science のBreakthrough of the year の1つに選ばれるなど、今世紀最大の発見の一つと目されています。
培養株が得られたことにより真核生物の起源研究は推測を超えて検証できる新しい時代に突入しました。今後、私たち真核生物の誕生についての理解が大きく深まることが期待されています。