産総研 - ニュース 受賞

2021/05/25

令和3年度全国発明表彰において産総研が未来創造発明賞および未来創造発明貢献賞を受賞

掲載日:2021/5/25
更新日:2021/6/22
 

令和3年度全国発明表彰において、国立研究開発法人産業技術総合研究所【理事長 石村和彦】(以下「産総研」という。)は未来創造発明賞および国立研究開発法人科学技術振興機構とともに、未来創造発明貢献賞を受賞しました。

全国発明表彰は、皇室から毎年御下賜金を拝受し、日本における発明、考案、又は意匠(以下「発明等」という。)の完成者並びに発明の実施および奨励に関し、功績のあった方々を顕彰することにより、科学技術の向上および産業の発展に寄与することを目的として行われています。なお、未来創造発明賞は科学技術的に秀でた進歩性を有し、かつ、中小・ベンチャー企業、大学等および公設試験研究機関等の研究機関に係る発明等を対象とし、未来の社会を創造するに当たり、実施効果を挙げている、又は今後大きな実施効果を挙げると期待され著しく優秀と認められる発明等の完成者に贈呈されるものです。また、未来創造発明貢献賞は未来創造発明賞を受賞する発明等が法人におけるものである場合に、当該法人の代表者に贈呈されるものです。

表彰式は6月22日(火)にオークラ東京にてにて開催予定です。
 

「磁気記録の進化に資する配向性多結晶MgO トンネル磁気抵抗素子の発明」(特許第5120680号)
 (共同権利者:国立研究開発法人科学技術振興機構)

未来創造発明賞

  • 湯浅 新治 (産総研 エレクトロニクス・製造領域 新原理コンピューティング研究センター 研究センター長)

未来創造発明貢献賞

  • 石村 和彦(産総研 理事長 兼 最高執行責任者)
  • 濵口 道成(国立研究開発法人科学技術振興機構 理事長)

発明の概要

本発明は、巨大な磁気抵抗効果を持つトンネル磁気抵抗素子(MTJ素子)を量産可能な形で実現し、磁気記録の進化に資するものである。

従来のMTJ素子では、トンネル障壁(極薄の絶縁体層)に非晶質の酸化アルミニウムが用いられてきたが、磁気抵抗効果が小さかったためその産業応用は限定的であった。

本発明では、トンネル障壁に配向性多結晶の酸化マグネシウム(MgO)、強磁性電極にコバルト(Co)、鉄(Fe)、ホウ素(B)を含む磁性合金などを用いることにより、従来の約10倍に達する巨大な磁気抵抗効果と優れた量産性を実現した。

本発明のMTJ素子は、現在すべてのハードディスク(HDD)の磁気ヘッドに採用されており、大容量HDDの実現により情報化社会の高度化に貢献している。また本発明技術は、電源を切っても記憶情報が消えない不揮発性メモリSTT-MRAMとしても実用化されており、スマートフォンやパソコンの省電力化と高性能化につながると期待されている。

表彰式の様子イメージ1
 
 
表彰式の様子イメージ2
令和3年度全国発明表彰 表彰式の様子
(写真掲載日:2021年6月22日)
表彰式の様子イメージ3