令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者が4月6日に文部科学省にて決定され、産総研から科学技術賞(研究部門)を受賞しました。
文部科学省は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者を「科学技術分野の文部科学大臣表彰」として顕彰してきており、研究部門においては我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は開発を行った者が対象です。
科学技術賞 研究部門
受賞者
- 堀田 照久 エネルギー・環境領域 省エネルギー研究部門 研究部門長
- 山地 克彦 エネルギー・環境領域 省エネルギー研究部門 エネルギー変換技術グループ 研究グループ長
- 岸本 治夫 エネルギー・環境領域 ゼロエミッション国際共同研究センター 電気化学デバイス基礎研究チーム 研究チーム長
業績名、概要
「燃料電池界面の反応可視化と物質輸送機構解明に関する研究」
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、高温で作動する電気化学デバイスで、ガス/電極/電解質界面でのガス拡散、イオン伝導、電荷移動などの物質輸送が性能・耐久性を決める。燃料電池の性能・耐久性向上のためには、電極・電解質内や異種材料接合界面での通常見えないイオンの動きや微量不純物との反応、変化を可視化・評価し機構を解明する方法が必要とされていた。
本研究は、燃料電池材料界面でのイオンや構成元素の動きを直接とらえ、可視化する技術に関するものである。同位体酸素ラベル法と2次イオン質量分析計イメージング法等により、初めて燃料電池作動下での酸化物イオンの動きや溶け込み活性点の分布を可視化するとともにppm以下の微量不純物と電極・電解質材料との反応や微小変化をとらえることに成功した。
本研究により、燃料電池界面での反応物質の物質輸送機構が解明され、高性能・高効率で、耐久性や信頼性に優れる安定な燃料電池界面を構成するための重要な技術指針を示すことに成功した。
本成果は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムの性能・信頼性向上を実現し、その普及・社会実装に貢献するもので、将来の水素社会・脱炭素社会の構築に寄与することが期待される。
令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00547.html