2019年4月12日金曜日に第51回市村賞の贈呈式が帝国ホテル東京にて行われ、創エネルギー研究部門 姫田 雄一郎 上級主任研究員、化学プロセス研究部門 川波 肇 上級主任研究員、エネルギー化学材料オープンイノベーションラボラトリ 徐 強ラボ長が、市村地球環境学術賞 貢献賞を受賞ました。
市村地球環境学術賞は、公益財団法人新技術開発財団の主催で、大学ならびに研究機関で行われた研究のうち、地球温暖化防止に関する技術分野において顕著な業績のあった技術研究者またはグループに贈呈されています。
受賞者(左から徐ラボ長、川波上級主任研究員、姫田上級主任研究員)
受賞テーマ
ギ酸分解触媒の開発による革新的水素製造技術
受賞者
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エネルギー・環境領域 創エネルギー研究部門 姫田 雄一郎 上級主任研究員
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材料・化学領域 化学プロセス研究部門 川波 肇 上級主任研究員
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エネルギー・環境領域 エネルギー・環境領域研究戦略部 エネルギー化学材料オープンイノベーションラボラトリ 徐 強 ラボ長
研究業績の概要
時空間的に偏在する再生可能エネルギーを効率的に利用するため、貯蔵・輸送が容易なエネルギーキャリア(水素キャリア)の開発と、水素ガスステーション等で供給される高圧水素の安価な供給技術の開発(図1)が、強く望まれている。受賞者らは、化学系水素貯蔵材料としてギ酸に着目し、安価・大規模な水素の貯蔵・輸送と高圧水素供給システムのための「ギ酸を分解する高性能触媒の開発」と「高圧水素発生と相分離プロセスによる水素精製の実証」を行った。
本技術では、(1)100℃以下の加温で高効率にギ酸を分解する高性能触媒の開発と、(2)1000気圧以上の圧縮ガスの発生と、気液相分離による高圧水素の精製を実証した。触媒開発においては、触媒1gあたり、毎時3.3m3の水素を1週間程度安定的に製造可能な高性能・高耐久性ギ酸分解触媒を開発した。この触媒システムでは、燃料電池触媒の劣化の原因となる一酸化炭素の副生がなく、有機添加物不要の水中での反応が可能である。また、機械式コンプレッサーを用いることなく、温水程度の加温で、ギ酸から1000気圧を超える圧縮ガスの発生(図2)を世界で初めて実証した。また、発生するガスを冷却することで二酸化炭素の気液相分離により、水素精製(図3)も可能である。これらの技術開発により、ギ酸キャリアを用いた高圧水素発生システムの実用化への可能性を示した。これらの技術は国際的に高い評価を得ていると共に、多数の研究機関、研究者とのネットワークを構築している。また、有償試料提供や共同研究等、産業界との連携も進んでいる。(公益財団法人新技術開発財団ホームページ(http://www.sgkz.or.jp/)より)