産総研 - ニュース 受賞

2016/04/26

平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(創意工夫功労者賞)を受賞

 平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(創意工夫功労者賞)の伝達式が4月21日に産総研つくばセンターにて、行われました。
 この表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的として行われています。その中でも、優れた創意工夫により職域における技術の改善向上に貢献した者を対象とした賞が“創意工夫功労者賞”です。

創意工夫功労者賞

受賞者の写真
TIA推進センター 関 三好
 

「シリコン基板上への微細構造加工技術の改善」

 シリコン基板上への数十ナノメートルの微細構造の形成(加工)において、構造依存性が非常に小さい加工条件を見出して体系化したことで、従来の1/20~1/30の時間とコストで、多種多様な微細構造を形成できるようにした。通常は、構造物の種類、寸法、形状、密度等に依存して、加工後の形状や寸法精度を実現するための最適な加工条件が異なり、条件出しに多大な時間を要するだけでなく、条件出しに使用した材料や装置の運転などのコストの増大が大きな問題であった。この問題を解決するため、微細構造形成に長年携わった経験と加工特性の深い理解により、微細構造依存性の非常に小さい加工条件を見出した。これにより、種々の微細構造の形成依頼に対し、短期間に柔軟に対応することが可能となり、多様な分野の産業競争力の向上と産業の発展に大きく貢献した。
 


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工学計測標準研究部門 長野 智博

「放射電磁界イミュニティ試験装置の改良」

 電波暗室を新設し、アンテナの高さや床置きの電波吸収体の配置などを変更し、電界校正面(16点)の電界強度を測定した結果、これまでは試験周波数によって許容値である+6dB付近の箇所が何点かあったが、下記のように最高でも+5dB、多くは+3dB以下と大幅に改善された。また、電波暗室の入口の幅を1.5mに拡大して大型化した試験器物への対応を図ったところ、少人数での搬入、搬出を実現し、安全面での不安も払拭でき、十分な改善を図ることができた。

 本放射電磁界イミュニティ試験装置は、当所が実施する放射電磁界イミュニティ試験の信頼性を十分に向上させ、人々の生活の中で使用される各種の特定計量器による正確な計量の実現に貢献できたと考える。
 


受賞者の写真

つくば中央第三事業所研究業務推進室 金子 清香

「地質情報の広報普及促進物の作製と利活用考案」

 地質標本館では、特に学童・児童や教育者向けの展示や各種行事を通して、生活の基盤にある地質情報の理解に向けた広報・成果普及業務に取り組んでいる。

 金子氏は、地質標本館における広報普及業務を担当し、広報物の作製、特に科学リテラシー向上に資する教材作製において、新たにペーパークラフトやジグソーパズルなどの新教材を企画・設計し、出版した。特に化石や石の立体造形展示物をモチーフにしたペーパークラフト工作教材では、地質標本館を代表する化石であるデスモスチルスの骨格模型画像を利用することにより、特徴ある立体的な足の動きを平面展開した上で簡易に再現する工夫を凝らし、組み立ても容易なものを作成した。これらの教材は、非常に多くの配付数を数えることとなり、地質情報の成果普及に大きく貢献した。