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お知らせ記事2021/02/01

「堀場製作所-産総研 粒子計測連携研究ラボ」を設立
-世界トップレベルの粒子計測を可能とするシステムの実用化をめざす-

ポイント

  • 環境規制強化に対応する気中微粒子計測技術の開発
  • 産業競争力強化に資する先端ナノ材料の計測評価システムの開発
  • 連携研究ラボを通じたシナジー効果の発現と若手イノベーション人材の育成
 

概要

国立研究開発法人産業技術総合研究所(本部:東京都千代田区、理事長:石村 和彦 以下、産総研)と株式会社堀場製作所(本社:京都市、代表取締役社長:足立 正之 以下、堀場製作所)は、産総研計量標準総合センター(茨城県つくば市)内に「堀場製作所-産総研 粒子計測連携研究ラボ」(英語名:HORIBA Institute for Particle Analysis in AIST TSUKUBA<HIPAA>)(以下、連携研究ラボ)を設立し、2月1日より本稼働を開始します。

連携研究ラボでは、産総研と堀場製作所が有する最先端の分析・計測技術、材料評価技術を掛け合わせたオープンイノベーションによる研究開発を推進します。人々の安全・健康を守るための環境課題の解決や、イノベーションの担い手として期待されるナノ材料の開発に寄与する、世界トップクラスの粒子計測を可能とするシステムの実用化に取り組みます。

石村 和彦産総研理事長と足立 正之堀場製作所代表取締役社長の写真

(左)石村 和彦(産総研理事長)
(右)足立 正之(堀場製作所代表取締役社長)
(注:コロナ禍下の緊急事態宣言に伴い、オンラインでの面談を実施)
オンライン面談の様子の写真

オンライン面談の様子 – コロナ禍下でも止めない オープンイノベーションについて意見交換
(上段左)足立 正之、(上段右)石村 和彦、(下段左)西方 健太郎(堀場製作所開発本部長)、(下段右)臼田 孝(産総研理事・計量標準総合センター長)

概要図

堀場製作所-産総研 粒子計測連携研究ラボのコンセプト

 

背景

現在、PM2.5や自動車排気粒子をはじめとした環境問題への対策は、人々の安全で健康な暮らしを守るための重要課題として認識されています。一方で、産業や科学技術のさらなる発展に向けては、さまざまな分野で製品の性能や品質を飛躍的に高めるナノ材料の開発に期待が寄せられています。

こうした2つの課題に関する研究開発を進めていく上で共通する要素が、「粒子」の計測であり、粒子の大きさや構成比などを解析することにより、原因の特定や改善につなげていくことができます。

連携研究ラボでは、両者がもつ深い知見と独自の技術を融合することにより、今までにない高い次元で信頼性・簡便性・汎用性を兼ね備えた粒子計測システムの実用化に取り組みます。この連携を通じて幅広い市場のニーズに応え、より良い社会の構築に貢献してまいります。

 

研究の内容

産総研の分析・計測技術や材料評価技術と、堀場製作所の製品開発力によるシナジーを発揮し、主に以下の研究開発に取り組みます。また、連携研究ラボにおける人材交流を通じて、若手人材の育成にも取り組みます。

  1. 環境規制強化に対応する粒子計測システム開発
    PM2.5や自動車排気粒子など、環境課題の解決に向けて今後さらなる規制強化がなされていく分野において、より微小な粒子を正確かつ簡便に計測可能なシステムの開発に取り組みます。
  2. ナノ材料特性の解析・評価システム開発
    堀場製作所がもつナノ粒子解析装置を用いて実測データを積み上げ、カーボンナノチューブセルロースナノファイバーといった先端材料における効果的な解析・評価を行うシステムの開発に取り組みます。
 

連携研究ラボ本稼働に際してのオンライン面談

1月22日(金)、産総研と堀場製作所で連携研究ラボにおける今後の展開を語る面談を行いました。なお、新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑み、京都と東京とつくばを結ぶオンライン形式で実施しました。石村 和彦(産総研理事長)や足立 正之(堀場製作所社長)をはじめとした参加者で、コロナ禍下の困難な状況にあっても、感染予防策を徹底し、より良い未来を作り出すオープンイノベーションの手を止めずに着実に進めることを話し合いました。

 

連携研究ラボの体制

  1. 名称:堀場製作所-産総研 粒子計測連携研究ラボ
  2. 場所:産総研 つくば中央 第三事業所、第五事業所
  3. 研究体制:連携研究ラボ長 舘野 宏志(堀場製作所から在籍出向)
  4. 人員:18名(予定)
 

用語の説明

◆連携研究ラボ
企業のニーズにより特化した研究開発を実施するため、その企業を「パートナー企業」と呼び、パートナー企業名を冠した連携研究ラボ(冠ラボ)を産総研内に設置しています。パートナー企業は研究者・研究資金などを、産総研は研究者・研究設備・知的財産などの研究資源を提供し、パートナー企業からの出向研究者と産総研からの研究者が共同で研究開発に取り組みます。[参照元へ戻る]
◆PM2.5
微小粒子状物質(PM2.5)は大気中に浮遊している2.5 μm以下の小さな粒子。PM2.5による健康影響の低減を目的として環境基準値が設定され、自動測定機による常時監視が行われています。自動車の排気中に含まれる粒子はPM2.5の主要因の一つであり、排出量に対する規制が強化されるとともに、排出量計測の信頼性を高めるための技術開発が進められています。[参照元へ戻る]
◆カーボンナノチューブ
炭素原子のみで構成される直径が0.4 nm ~50 nmのチューブ状の炭素材料。代表的な先端ナノ材料で、高機能電子デバイスや高強度な構造材料など様々な産業応用が期待されています。[参照元へ戻る]
◆セルロースナノファイバー
パルプなどの植物繊維をナノメートルレベルまでほぐすと得られる、直径が3 nm~100 nmのセルロース繊維材料。軽量で高い強度を有する環境負荷の低い材料として期待されています。[参照元へ戻る]