沖縄科学技術大学院大学(沖縄県恩納村、学長兼理事長:カリン・マルキデス、以下「OIST」)と産業技術総合研究所(産総研、茨城県つくば市、理事長:石村和彦、以下「AIST」)は、量子コンピューティング技術の分野における研究開発および社会実装を推進するため、覚書を締結しました。本連携により、両機関は科学的知識の研究および応用に関して緊密な協力関係を構築し、日本における国際的な量子エコシステムの形成に貢献することを目指します。
本覚書により、OISTの量子技術センター(OCQT)とAISTの量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)の基礎研究から応用研究および人材育成まで幅広い分野での協力を推進することが期待されます。

写真提供:沖縄科学技術大学院大学(OIST)
本覚書のもと、両者は以下の協力を推進します。
- 量子コンピューティング技術の社会実装に向けた科学者・研究者・職員の交流
- グローバルに活躍できる量子人材の育成
- OISTおよびAISTによる市民への科学普及活動の強化
本覚書の締結を記念し、2025年4月14日、「世界量子の日」にあわせて、OISTにて連携式典およびシンポジウムが開催されました。本イベントには、OISTおよびAISTの関係者をはじめ、量子技術に関心を持つ研究者や企業関係者が参加し、今後の協力の方向性について意見を交わしました。
今年はユネスコ(UNESCO)によって定められた「国際量子科学技術年(IYQ)」であり、量子技術の重要性が世界的に認識される中、この協定は量子技術の進展を促進し、科学技術の革新を通じて人類の未来に貢献する重要な一歩となります。国内において先進的な量子技術研究を進める両機関の連携が、量子技術の社会実装に向けた新たな道を切り開くことが期待されます。
OISTとAISTは、本覚書を通じて量子技術の発展を加速し、日本発のイノベーション創出に寄与してまいります。今後も連携を強化し、量子技術の研究開発を推進することで、社会に新たな価値を提供していきます。
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、2011年に日本政府の主導で設立された大学院大学です。国内外から優れた研究者を迎え、世界最高水準の研究拠点の形成を推進し、先駆的な大学院大学として科学技術の発展に貢献することを目指しています。また、沖縄におけるイノベーションの促進拠点としての役割も担っています。
2022年には、量子技術の国際的な研究・人材育成拠点として、OIST量子技術センター(OIST Center for Quantum Technologies、以下 OCQT)がOIST内に設立されました。OCQTは、日本政府の「量子未来社会ビジョン」に基づき、国際共同研究の推進、優秀な人材の育成・流動性の向上を担う中核拠点として、学際的な量子技術研究を展開し、イノベーションの創出を目指しています。さらに、ワークショップやサマースクールなどの国際交流プログラムの充実、産学連携や技術移転を通じて、量子技術の未来を担う国際的な研究者の育成にも取り組んでいます。
OCQT根本香絵センター長は、「この度、産業技術総合研究所と覚書の締結により、2つの異なる強みをもつ量子技術イノベーション拠点※1が協働するための基盤ができました。量子産業の創出には、先端的基礎研究からイノベーション創出、そして産官学の幅広い連携や協働が不可欠です。沖縄科学技術大学院大学と産業技術総合研究所が持つそれぞれの強みと資源を有効に活用し、多彩なコラボレーションを生み出しながら、量子技術の開発と社会実装、人材の育成を目指します。」とコメントしています。
産業技術総合研究所(National Institute of Advanced Industrial Science and Technology; AIST)は、2001年に設立された日本の国立研究開発法人であり、産業技術の研究開発を通じて経済の持続的成長と社会課題の解決を目指しています。その前身は、1882年に創設された地質調査所にまでさかのぼり、100年以上の歴史を有しています。AISTは、AI、ロボティクス、材料科学、エネルギー、環境技術、ライフサイエンスなどの幅広い分野で最先端の研究を推進しており、つくばを中心に全国に研究拠点を展開しています。
量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)は2023年に設立され、量子技術とAI技術の融合を通じて量子コンピューティングに代表される量子技術の実用化と、量子技術によるビジネス創出、グローバルなエコシステムの創出をめざし活動を行っています。
G-QuAT益一哉センター長は、「沖縄科学技術大学院大学との覚書のもと、科学者・研究者・職員の交流を通じて量子コンピューティング技術の社会実装を推進し、グローバルに活躍できる量子人材の育成を目指します。これにより、量子技術の国際的なエコシステムの形成に貢献し、日本発のイノベーションが世界に広がることを期待しています。」と述べています。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
ブランディング・広報部 報道室
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