産総研 - ニュース お知らせ

お知らせ記事2021/06/09

社会課題を解決するための包括的な相互協力に関する協定の締結

SOMPOホールディングス株式会社(本社:東京都新宿区/グループCEO取締役代表執行役社長:櫻田 謙悟、以下「SOMPOホールディングス」)と国立研究開発法人 産業技術総合研究所(東京本部:東京都千代田区/理事長:石村 和彦、以下「産総研」)は、おのおのが強みを持つ分野の知見を相互に活用し、少子高齢化やニューノーマル※1への対応といった社会課題を解決するため、包括的な相互協力に関する協定を締結することに6月9日、合意しましたのでお知らせします。本協定は、共同研究などを効果的に推進することにより、その成果の社会実装をもってわが国の経済の成長に貢献することを目的としています。

協定締結の写真

 

1.背景・目的

自然災害の多発や激甚化、人口減少・少子高齢化の進展、さらに新型コロナウイルス感染症の影響など、世界は複雑で重層化した社会課題に直面しており、テクノロジーの指数関数的な発展も相まって、大きく変容しています。

SOMPOホールディングスでは、こうした時流の変化を適切に捉え、お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービスをご提供し、社会に貢献することを体現すべく、2021年度からの新・中期経営計画が始めるにあたり、「SOMPOのパーパス」を明確化しました。新・中期経営計画では、「SOMPOのパーパス」の実現に向けて、SOMPOグループが社会に提供する価値をエビデンスに基づき示していくための、社会課題解決に向けた志を共にし、かつ幅広いテクノロジーや知見などに強みを持つパートナーを探索していました。

産総研は、2020年度から始まった第5期中長期計画において、「世界に先駆けた社会課題の解決と経済成長・産業競争力の強化に貢献するイノベーションの創出」をミッションとして掲げています。単独の企業、単一の学問領域で実効性のある答えを導くことが困難な社会課題に対して、産総研は7つの研究領域を持つ多様性を生かし、分野をまたいだ研究の融合を図り、国内最大級の研究機関としての総合力をあげて、その解決に向けた研究・成果普及活動を推進しています。

これらの取り組みを最大化するために、特定研究開発法人として先駆的な研究所運営に取り組むとともに、研究成果を社会実装していくための産業界のパートナーを探索していました。

SOMPOホールディングスと産総研は、これまで個別の技術コンサルティングなどでの連携を通じて信頼関係を構築してきました。さらに、少子高齢化社会やニューノーマルへの対応といった社会課題の解決に向けたお互いの問題意識や情熱を確認し、SOMPOホールディングス傘下の事業会社が保有するリアルデータ※2や事業展開力と、産総研が持つ幅広い分野での先端技術に関する研究ポテンシャルというおのおのの強みがそれらの社会課題の解決に向けて補完関係にあることを相互に認識しました。

今般、「持続可能な社会」というお互いの目指す姿の実現に向けて本格的に取り組むべく、2021年度から3年間の相互協力に関する協定を締結することとしました。

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2.相互協力の協定締結による今後の取り組みの概要

本協定の締結により、上記のおのおのの強みを組み合わせ、長期的ビジョンでの社会課題の解決に資する価値提供およびイノベーション創出に共同で取り組んでいきます。

安心・安全・健康に関する社会課題を解決するには、リアルデータプラットフォーム※3の構築が鍵となります。SOMPOホールディングスはビジネスモデルや保有するデータを提供し、産総研はそれらを科学的に分析してその価値を検証します。さらに両者は、政府・自治体、企業などを巻き込んだエコシステムを形成のうえ、新たな顧客価値やソリューションを創出するプラットフォーム構築の実現を目指していきます。

本協定はこれらの取り組みの基盤であり、立ち向かう社会課題や協業の領域、具体的な共同研究などのアジェンダについては、随時協議のうえ、追加していきます。

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3.今後の相互協力による取り組み領域(介護業界における社会課題解決に向けた取り組み)

少子高齢化、ニューノーマルへの対応といった社会課題に対して、大手介護事業者を有するSOMPOホールディングスと介護に関連した多様な研究を展開する産総研の強みを生かし、高品質・高効率で高齢者も介護職員も満足度が高い介護システムと介護ビジネスに関わるエコシステムの構築に向けて、次のような共同研究に取り組みます。

これらの取り組みは、わが国の超高齢社会の課題を解決することに貢献し、ひいては日本発の安心・安全・健康のソリューションとして世界に発信することを目指します。

(1)介護品質の評価方法の開発と標準化
介護職員の配置数で介護品質を評価するのではなく、被介護者の生活の質などから介護品質を評価する方法を開発し、標準化を目指します。ロボットなどの介護技術の安全性などを評価する方法も検討します。これにより、介護の品質確保と生産性向上の両立を図るための基盤の整備が期待できます。

(2)介護プロセスの効率的な実態把握方法の開発
介護施設において、どのようなケアにどの位時間を要しているかについて、センサやデータ統合などに関する技術を用いて半自動的・省力的に把握する方法を開発します。これにより、介護の生産性向上に向けた技術的基盤の整備が期待できます。

(3)現在の心身健康状態の評価方法の開発
表情や音声、行動などのデータを統合し、介護職員や被介護者の心身健康状態を評価する方法を開発します。これにより、被介護者の健康状態や満足度の把握と介護職員のやりがい向上につなげることを目指します。

(4)将来の心身健康状態の予測方法の開発
被介護者の健診データや生活データなどに基づいて、介護による介入などが将来の心身健康状態に与える影響を予測する方法を開発します。これにより、科学的エビデンスに基づく介護サービスの持続的改善を目指します。

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用語の説明

※1.ニューノーマル
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が主な原因で生活やビジネスの様式が従来から大きく変化し、その収束後も前の状態に戻ることがなく、新たな常態が定着することを指す。[参照元へ戻る]
※2.リアルデータ
保険・介護現場、製造、自動車走行、物流、災害など個人や企業の実社会での活動に関連して取得されるデータのこと。対となる言葉はバーチャルデータで、それはWeb検索やSNSなどのネット空間での活動から生じるデータを指す。[参照元へ戻る]
※3.リアルデータプラットフォーム
SOMPOホールディングスが提唱する、上記の膨大なリアルデータを統合・分析し、社会課題を解決する新たなソリューションを提供するビジネスモデルのこと。[参照元へ戻る]
 

問い合わせ先

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
広報部 報道室
TEL:029-862-6216 FAX:029-862-6212
E-mail:hodo-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)