産総研 - ニュース お知らせ

お知らせ記事2020/02/26

「DIC-産総研 サステナビリティマテリアル連携研究ラボ」を設立
-サステナビリティに資する資源循環型機能材料の開発を目指す-

ポイント

  • 機能材料を新たな原料として再利用できるケミカルリサイクルに挑戦
  • 天然物由来原料からの機能材料の開発
  • 関連技術の融合により、サステナビリティに資する機能材料開発を推進

概要

国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」)とDIC株式会社【社長執行役員 猪野 薫】(以下「DIC」)は、産総研材料・化学領域内に「DIC-産総研 サステナビリティマテリアル連携研究ラボ」(以下「連携研究ラボ」)を設立し、共同研究を開始しました。

連携研究ラボでは、産総研とDICの保有する基盤技術を融合することで、ケミカルリサイクルバイオリファイナリーを基軸とした機能材料開発を行います。創り出された機能材料を新たな原料として再利用できるケミカルリサイクルに挑戦し、天然物由来原料からの材料とその評価技術の開発を進めます。これにより、資源循環型の機能材料の創出を目指すとともに、低環境負荷型の循環社会の実現に貢献してまいります。

連携研究ラボの概要図
DIC-産総研 サステナビリティマテリアル連携研究ラボのコンセプト

関係者一同の写真
左より) DIC 川島常務執行役員(技術統括本部長)、有賀執行役員(R&D統括本部長)、
産総研 村山理事(材料・化学領域長)、田村連携研究ラボ長

背景

気候変動や深刻化する社会・環境問題など、産業を取り巻く課題が多様化する中、持続可能な発展(サステナビリティ)の必要性が高まっています。機能材料についても、地球温暖化、環境負荷、資源の枯渇といった問題の解決に資する技術の開発が求められています。

連携研究ラボでは、カーボンニュートラルで地球温暖化の抑制に貢献するバイオベース材料や、環境負荷が低く海洋プラスチック問題低減にも寄与する生分解性材料の開発をさらに加速させるとともに、機能材料を新たな原料として再資源化する資源循環型の技術開発に取り組みます。

連携研究ラボの体制

今回設立した連携研究ラボは、産総研のつくばセンター、関西センターの2カ所に拠点を置き、複数の研究領域からなる体制で、コンカレントな研究開発を実行します。産総研は、触媒化学技術とこれを基にしたバイオマスからの機能化学品創生技術(つくばセンター)や生分解性ポリマーに関する合成・評価・解析技術(関西センター)を保有しています。これらの技術と、DICが保有する有機分子設計・高分子設計技術とを融合することにより、オープンイノベーションによる技術開発を行います。また、連携研究ラボにおいて両者の人材、技術を緊密に交流させることで、質の高い人材開発に取り組みます。

  1. 名称:        DIC-産総研 サステナビリティマテリアル連携研究ラボ
  2. 場所:        産総研 つくばセンター、関西センター
  3. 連携研究ラボ長: 田村 正則(産総研 触媒化学融合研究センター)

用語の説明

◆連携研究ラボ
企業のニーズに、より特化した研究開発を実施するため、その企業を「パートナー企業」と呼び、パートナー企業名を冠した連携研究ラボ(冠ラボ)を産総研内に設置している。パートナー企業は研究者・研究資金などを、産総研は研究者・研究設備・知的財産などの研究資源を提供し、パートナー企業からの出向研究者と産総研からの研究者が共同で研究開発に取り組んでいる。[参照元へ戻る]
◆ケミカルリサイクル
容器包装などの廃プラスチックを熱やガスなどを使い化学的な手法で低分子に戻し、これをプラスチックや化学製品の原材料として再度容器包装などの製品を作ること。[参照元へ戻る]
◆バイオリファイナリー
植物由来のデンプン、セルロースなどの多糖類や、油脂、リグニンなど、広くは農産廃棄物、食品廃棄物などのバイオマスをバイオ技術、触媒技術で燃料や化学品に変換する技術体系のこと。[参照元へ戻る]
◆カーボンニュートラル
環境中の二酸化炭素の放出と吸収が相殺されて中立になっている状態のこと。[参照元へ戻る]