国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」)とデンマークのKAOSPILOT【校長 Christer Windeløv-Lidzélius】は、VUCAの時代における、新技術の社会実装を可能とする人材育成のカリキュラム・評価システムを共同で開発していくため連携確認書に署名しました。
産総研デザインスクールとKAOSPILOTでは、それぞれの人材育成に関する研究、現場での新たなカリキュラム開発、将来の人材評価システムの開発に関し、相互に支援しながら両者で各スクールにおける人材育成の目的に合ったカリキュラム・評価システムを改良していく予定です。本事業において、産総研デザインスクールはKAOSPILOTの専門家を招聘する予定です。
本連携確認書の主目的は、日本の最先端技術の社会実装を行うため、社会システムをデザインできる能力に重点を置き、人材育成および評価手法を開発することです。本人材育成は、主に産総研柏センターとKAOSPILOTでそれぞれ行われる予定です。
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図1 KAOSPLOT校長 Christer Windeløv-Lidzélius(左)、産総研 理事 加藤一実(中央)、産総研 柏センター所長 廣島洋(右) |
VUCAの時代と言われるように、社会が複雑化している現在、技術を社会実装するためには、単純に良い技術を作れば良い、というものではなく、将来の社会のあるべき姿を想定しながら、本当のニーズとそれを解決するための技術シーズを探索することが求められています。
日本は特に、「技術で勝ってビジネスで負ける」、と言われるように、技術的に世界に先駆けた開発が行われていますが、技術を社会に送り出すための社会実装の技術と人材が弱いとされ、「成長戦略実行計画」(令和元年6月)にもデザイン能力人材育成の重要性が記載、経済産業省は“デザイン政策”を推進、“高度デザイン人材育成研究会”などを立ち上げています。
産総研は、社会における本当の課題は何か、その解決のために必要な技術をどのように社会に実装すればよいか、経済性や社会的影響まで含めて俯瞰し、理学、工学、経済学、社会学、法律学などの各分野の多様なステークホルダーと合意形成しながらビッグピクチャーを共創し、社会の中で社会とともに社会のために社会的課題解決を実践できる人材育成を目的とし、産総研柏センターに産総研デザインスクール事業室を設置しデザインスクールを立ち上げました。
本事業の主目的は、日本の最先端技術の社会実装を行うため、社会システムをデザインできる能力に重点を置き、人材育成および評価手法を開発することです。
産総研デザインスクールでは、企業からのスクール生が十数名程度、産総研の主に研究者十数名程度が、お互いの垣根を越え、8月から8か月程度、毎週1日程度、産総研柏センターに集まり、未来洞察手法、システム思考、デザイン思考、アート思考などのカリキュラムを行います。また、デザインスクール事業は、柏の葉という地域の住民、法人などと一体になりながら共創する場を提供しており、KAOSIPILOTはもとより、柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)、東京大学、一橋大学などの講師陣からなるカリキュラムを提供しています。
KAOSPILOTとの連携強化により、カリキュラムの充実化と育成度の評価手法の確立を図ります。これにより、求める人材の育成を加速し、この人材を介した技術の社会実装を実現します。