国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)と、一般社団法人 インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ【理事長 西岡 靖之】(以下「IVI」という)とは、スマート製造の実現に向けた連携・協力に関する協定(以下「本協定」という)を平成30年3月5日に締結しました。
産総研は、さまざまな機器を連携させる「つながる工場」の構築を産総研 臨海副都心センターで進めているところです。本協定に基づき、産総研とIVIは、この「つながる工場」を中心的な拠点として、IoT(Internet of Things)を活用したスマート製造の推進に向けた連携・協力活動を進めます。200社を超えるIVI参画企業によるさまざまなユースケースに対して、「つながる工場」を利用して産総研シーズ技術を適用します。そして、個別の要素技術を連携させることによって、課題解決や価値創出を実現するための研究開発を推進します。また、これらの活動の中から得られた成果をもとに、スマート製造展開のために標準化が必要とされる技術を特定し、その規格策定と国際標準化活動を進めます。
本協定の締結により、官民一体となって、スマート製造の実現に向けた国家プロジェクトの推進や国際標準化活動の活性化を図り、わが国の産業振興に寄与することを目指します。
ドイツ提唱のIndustry 4.0、米国のIIC(Industrial Internet Consortium)などの活動が進む中、日本でもIoTを活用したスマート製造を実現するための活動が展開されています。産総研では、さまざまな機器を連携させる「つながる工場」を産総研 臨海副都心センターに構築し、スマート製造実現へ向けた実験環境として活用するための施設整備を進めています。これと並行して、異なる機器や設備の間でデータを共有するためのルールを定める国際標準化活動にも主導的に取り組んでいます。
また、IVIは、日本の製造業のゆるやかな連携を基本的な考えとして持ち、参画する各企業が抱えている課題の中で、単独で解決することが困難な問題を複数企業が共同で解決するためのサポートを実施しています。標準化に関する活動についても、スマート製造における構成要素や標準化のあり方をモデル化したインダストリアル・バリューチェーン・リファレンス・アーキテクチャー(IVRA)の発信などを進めています。そして、産総研とIVIは、それぞれのメンバーが互いの活動に参加するなど、個人レベルでの情報交換や意見交換、連携活動を行ってきました。
このような背景のもと、組織としての連携体制を構築することによって、研究開発、産業界における課題解決、そして国際標準化活動をより一層推進するために、本協定を締結することとなりました。産総研とIVIは、官民一体となって、わが国におけるスマート製造の実現に向けて寄与することを目指します。