産総研 - ニュース お知らせ

お知らせ記事2017/05/30

欧州委員会共同研究センターと産業技術総合研究所が研究連携に関する協定を締結

ポイント

  • 両機関がエネルギー分野を中心とした、幅広い分野での研究連携を一層強化
  • エネルギー変換・貯蔵のための技術開発を推進し、エネルギー部材の共通評価基盤を確立
  • 日欧双方の高い研究開発ポテンシャルを活用した共同研究の推進により、エネルギー分野などにおける連携強化を目指す

概要

 欧州委員会共同研究センター【総局長 ウラジミール・スッチャ】(Joint Research Centre, European Commission、以下「JRC」という)と国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)は、エネルギー変換・貯蔵の研究開発および太陽電池の共通評価基盤の確立に関する連携などを推進することを目的とした研究連携協定(Research Framework Arrangement、以下「RFA」という)を平成29年5月29日に締結します。

 本RFAに基づいて、JRCと産総研は、エネルギー変換・貯蔵のための技術開発による国際研究開発力と産業競争力の強化をより一層推進します。双方の研究開発ポテンシャルを補完し合うことにより世界的な研究拠点になることを目指します。

 なお、今般のRFAの締結に際し、ベルギー王国ブリュッセル市内にあるJRC 本部において、経済産業省 保坂 伸 大臣官房審議官(産業技術環境局担当)の臨席のもと、JRC ウラジミール・スッチャ 総局長と産総研 中鉢 良治 理事長による RFA 署名式を行います。

経緯

 産総研は、JRC と平成 16 年度より研究連携を開始し、近年では太陽電池の一次校正や工業ナノ材料の毒性評価手法の開発の研究連携を実施してきました。このたび、エネルギー変換・貯蔵分野を中心とした、幅広い分野における研究協力に関するRFAを平成29年5月29日に締結し、研究連携の拡充と強化を図るとともに、本分野での世界的な研究拠点化を目指します。

協定締結の背景・ねらい

 JRCは、広範な研究分野において応用科学研究を実施しており、特に最近はエネルギー、健康、セキュリティー分野の研究開発を進めています。これまでに産総研はJRCと工業ナノ材料や太陽電池などの共通評価基盤の確立に関する研究協力を行っており、相互訪問などを通じて、強固な人的ネットワークを築いてきました。

 エネルギー変換・貯蔵分野などに関する研究をJRCと協力して行うことで、産総研の国際研究開発力を強化するとともに、同分野での我が国の産業競争力強化に貢献し、低炭素・省エネルギー社会の実現に向けての技術革新を加速することを目指します。

具体的な連携・協力内容

1.太陽電池の性能などの相互比較
 産総研 太陽光発電研究センターとJRCは、フラウンホーファー研究機構やドイツ国立物理工学研究所、米国国立再生可能エネルギー研究所とも連携して、太陽電池の基準器である基準太陽電池の国際比較や、新型太陽電池の性能評価を実施し、その結果を世界的に権威のあるジャーナルに共同発表してきました。今後も種々の太陽電池の性能比較を通じて連携を深めていきます。

2.OECD/WPMN (工業ナノ材料作業部会) 工業ナノ材料の細胞毒性試験の相互比較
 産総研 安全科学研究部門とJRCとが連携して、細胞毒性試験の一つであるコロニー形成試験を金・銀・シリカ・酸化亜鉛のナノ材料・単層カーボンナノチューブを対象に実施してきました。今後も種々の工業ナノ材料の毒性評価手法の確立を目指します。

用語の説明

◆欧州委員会共同研究センター(Joint Research Centre, European Commission)
欧州委員会の総局の一つで、欧州の研究開発・イノベーション政策に資する研究を行っています。ブリュッセル(ベルギー)に本部があります。イスプラ(イタリア)やペッテン(オランダ)など、5都市に6 研究企画部を有し、約 3,000 人の職員が在籍しています。予算規模(支出ベース)は約 3.7 億ユーロ(2015 年)で、この他にHorizon2020、受託研究費などで約 1.2 億ユーロの収入があります。主力とする研究分野は、計測科学、計量、化学、エネルギー、輸送、情報技術、災害リスク軽減などで、近年では環境、健康分野などにも重点を置いています。[参照元へ戻る]