学校法人 早稲田大学【学長 白井 克彦】(以下「早稲田大学」という)と独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)は、研究開発・人材育成など、相互協力が可能な事項について、両機関の連携・協力を促進することで、相互の研究開発能力および人材などの総合力を発揮し、わが国の学術および産業技術の振興に寄与するため、相互の連携・協力に関する協定を、11月20日に早稲田大学大隈会館において調印した。
本協定により、13学部・23研究科を有する総合大学である早稲田大学と、産業科学技術に関する国内最大の研究拠点である産総研との連携・協力を促進し、IT・ナノ・バイオ分野などの先端科学技術や地球規模の技術課題について研究開発の推進を図る。また、新たな連携として理工系大学院の充実に双方が協力することを通じて世界に先駆けたオンリーワン技術を次代の研究者・技術者が中心となって創出し、ベンチャー起業などによってイノベーション立国を実現するべく、両者からなる協議会がサポートを続けていく。このために連携大学院やインターンシップを特定分野について充実・深化させ、わが国の産業の高度化・グローバル化に貢献できる人材の育成を相互交流により本格化させる方向である。
白井 早稲田大学学長(左)、吉川 産総研理事長(右)
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これまで両者は研究者個々人の繋がりで様々な連携を進めることはもちろんのこと、2003年には早稲田大学、産総研および東京農工大学との間で包括協定を締結し、それぞれの特徴(早稲田大学:ナノテク、産総研:IT、東京農工大学:バイオ)を活かした研究交流を進めてきた。
具体的には、早稲田大学の「ITバイオ研究所」(2005年設立)において、早稲田大学のIT技術と産総研のバイオインフォマティクス研究を両輪とし、遺伝子・タンパク質情報の大規模で高精度な解析技術の開発を目指した研究が行われてきている。
早稲田大学は、総合大学の強みを生かし、先進的かつ学際的な学術分野を創出し、「スーパーCOE」拠点、「グローバルCOE」7拠点など大型プログラムの推進を通して、グローバルで創造的な人材育成を図っている。また、他に例を見ない研究教育拠点充実のため、2008年3月には先端生命医科学センター(TWIns)を東京女子医大と共同で開設した。同センターでは、バイオサイエンス分野、医工連携による新領域の展開を目指している。この施設では、理工学術院再編の一環として2007年4月に設置された、医療工学、生命工学、医科学などの医療関係分野を扱う「先進理工学研究科生命医科学専攻」などが研究教育を行っている。
産総研は、経済産業省所管の研究所として、産業競争力の向上を目指して科学的基礎研究と製品との間にある死の谷を橋渡しする「本格研究」を実施し、異分野の技術や概念の架け橋となり実用技術につなげるイノベーションハブの役割を果たすことにより、産業技術の発展に尽くしてきた。
産総研と早稲田大学との間では、これまでも、遺伝子・タンパク質情報技術に関連したIT・バイオ分野を中心とした先端・基礎分野における研究協力ならびに人的交流を実施してきた。具体的には、2006年以降、産総研では毎年約10名の研究者が早稲田大学客員教員として、専任教員と協力して研究と人材育成に取り組んできた。また、毎年約30名の大学院学生を受け入れ研究指導を行ってきている。
これまでの協力関係をさらに発展させ、より広い範囲で相互の連携・協力を進めることにより、効率的な体制が組めるよう、改めて、産総研と早稲田大学の間で、包括的な協力協定を締結する協議を進めてきた。また、新たな連携として研究開発段階から起業などの可能性を目利きしてイノベーション創出型ベンチャーが育成できる環境を共有する。
今回、協定の締結により、全国に展開する産総研と早稲田大学の全学組織との相互協力がより一層促進し、両者間の研究協力による新たな産学官連携を踏まえた世界最高水準の共同研究開発を行う予定である。また、ベンチャー企業の交流支援などについて連携して展開を図っていく。