独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)と独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構【理事長 堀江 武】(以下「農研機構」という)は、我が国の学術、産業技術の振興、ならびに、21世紀の豊かで持続発展可能な社会の実現に寄与することを目指して、連携・協力協定に調印した。
本協定の下、産総研と農研機構は、相互の長所と得意分野を持ち寄ることにより生物分野、情報通信分野、環境・エネルギー分野を中心にした、広範囲な研究連携・協力を展開し、研究施設・設備等の相互利用、研究者の研究交流を促進する。そのため組織的に研究テーマのマッチングを図り研究開発を効率化する。
産総研と農研機構とは、農業・食品分野と産業技術振興のための共同研究プロジェクトを中心とした連携を従来より行ってきている。この連携の円滑な運用、異分野融合による課題の解決と今後の発展を目指し、同時に、学術・産業の振興と合わせて、21世紀の豊かで持続発展可能な社会の実現にむけ、両研究所の技術を共同して社会へ移転することにより、相互の研究分野に関する緊密な連携・研究協力の促進を通じた社会貢献を果たしていきたい。
吉川 産総研理事長(左)、堀江 農研機構理事長(右)
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筑波研究学園都市に国立研究所群が移転して四半世紀以上経過し、個々の研究者同士や、プロジェクト毎の連携協力は進んできた。また、筑波研究学園都市交流協議会(筑協)が組織され、筑波にある研究所間の研究交流や産学官連携活動の促進に努めてきている。
総合科学技術会議の第三期基本計画においても、筑波研究学園都市の研究所間連携や融合の必要性が述べられており、省庁間の行政的な分野を越えた組織的な連携を今後より一層強化する必要がある。加えて本年5月、農林水産業と商業・工業等の産業間の壁を越えた連携促進による地域経済活性化の実現を図るため、「農商工等連携関連2法」が成立し、当該連携に係る法的な枠組みが整備された。これを受け、経済産業省と農林水産省が連携して地域経済活性化の支援を開始しており、その取り組みの中で各省が所管する独立行政法人である産総研と農研機構に対する期待は大きい。
産総研は「持続的発展可能な社会を構築する」という基本理念の下で基礎研究から製品化研究までの連続した研究である「本格研究」を幅広い分野で推進している。農研機構は食料・農業・農村に関する研究開発を総合的に推進している。
農研機構と産総研とは、筑波研究学園都市エリア事業などを共同で推進し、平成19年度実績だけでも11件の受託研究契約及び14件の共同研究契約が結ばれ、その共同研究の成果として数多くの論文発表や特許申請等がなされている。また、研究管理関連部門の職員の出向を伴う人事交流が平成19年から開始されている。
そこで、筑波研究学園都市の研究所のもつ幅広く高いレベルの研究ポテンシャルを活用するため、研究所間の緊密な連携・協力を通じて、より効果的な研究開発を組織的に促進すべきことから、両研究所間で積極的な連携の検討を行なってきた。具体的には、個別のプロジェクトの枠組みにとどまらない広範な協力連携を目指して、生物分野、情報通信分野、環境・エネルギー分野等の広範な分野において、両研究所の高い研究ポテンシャルを用いた研究協力等について協議を重ね、その結果、分野融合的な研究成果を生み出すような、緊密な横の協力・連携を目指した連携・協力協定を締結するに至った。
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産総研と農研機構は、共同研究等による研究開発の推進、両者間の研究交流を促進する。
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合同成果発表会等の開催など情報発信の相互支援と共同実施を行う。
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「連絡協議会」を運営することで両者の連携活動の進捗、成果等の状況を把握し、戦略的な連携を推進する。
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有効期間は平成22年3月31日までとする。
本連携・協力協定の下に、連携研究テーマ設定のために、研究情報の交換、施設の相互視察等を実施するとともに、定期的に連携協議会・連携推進会議を開催し、広範な分野での研究連携を推進し、両研究所で研究テーマのマッチングを進めていく。
この連携を核として、研究学園都市内をはじめとする研究組織間のより一層の連携を推進していきたい。