産総研 - ニュース お知らせ

お知らせ記事2008/06/17

北海道洞爺湖サミットにおける『ゼロエミッションハウス』の設置について
-世界最高水準のエネルギー・環境技術を備えた未来の住宅-

独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)、独立行政法人 産業技術総合研究所は、我が国の優れたエネルギー・環境技術を発信するため、北海道洞爺湖サミットにおいて、国際メディアセンター(IMC)に隣接する形で、太陽光発電、燃料電池、有機EL照明等の先端技術を備えた住宅『ゼロエミッションハウス』(6月末完成予定)を設置し、内外報道関係者等に対して展示を行います。

ゼロエミッションハウスイメージ画像

  1. 7月7日~9日の間、北海道洞爺湖町において地球温暖化対策が主要な議題となる「北海道洞爺湖サミット」が開催され、サミット会場となるザ・ウィンザーホテルから約27km(車で約30分)のルスツリゾート内に「国際メディアセンター(IMC)」(約11,000m2)が建設されます。
     
  2. これに合わせ、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構、(独)産業技術総合研究所は、IMCの屋外駐車場において、IMC内にて環境技術を展示する政府主催の「環境ショーケース」の一環として、太陽光発電システム、風力発電機、ヒートポンプ給湯機、家庭用燃料電池システム、環境配慮建材等の最新技術を備え、耐震性・断熱性など日本の工業化住宅の優れた技術を駆使した近未来型住宅『ゼロエミッションハウス』(約280m2)を設置し、約4,000人が見込まれる内外報道関係者等に対して、世界最高水準である我が国のエネルギー・環境技術についての展示を行います。
     
  3. また、ゼロエミッションハウスに隣接して、定置用燃料電池システム(3台)による実機運転を行い、照明等の電力を一部賄うとともに、同システムから得られた熱を利用した足湯コーナーを設置します。

  4. なお、ゼロエミッションハウスの完成は、6月末を予定しています。

コンセプト

地球温暖化を防止するとともに、持続可能な社会の実現に向けた卓越したものづくりの技術が日本には多く存在しています。

ゼロエミッションハウスは、グリーン電力証書も活用しエネルギーを全て自然エネルギーでまかなうとともに、「新エネルギー技術」「省エネルギー技術」「環境技術」の3つの技術を集結した、美しい日本の伝統と未来の革新技術を融合した近未来型エコ住宅です。

施設概要

◆ 所在地 北海道虻田郡留寿都村字泉川13番地(ルスツリゾート内)

◆ 完成日 6月末を予定

◆ 施設面積 約280m2(住居側:約200m2、足湯コーナー側:約80m2

ブースのイメージ画像

◆ 展示機器等

  • 太陽光発電システム
  • 小型風力発電機
  • ポータブルリチウム電源装置
  • 有機EL照明
  • 高効率ヒートポンプ給湯機
  • 家庭用燃料電池システム
  • 環境配慮建材(エコセメント、調湿建材、間伐材・廃棄木材利用木質材料)
  • ハイブリッド断熱ボード
  • 光ダクトシステム
  • 軽量鉄骨造の工業化住宅(制震構造・防汚塗装外壁採用)
  • 燃料電池システム実機運転による足湯コーナー
  • アザラシ型ロボット
  • 家電製品(液晶パネルTV等)
  • 計画換気システム

(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構及び(独)産業技術総合研究所について

(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構は、日本の産業技術とエネルギー・環境技術の研究開発及びその普及を推進する我が国最大規模の中核的な研究開発実施機関であり、産業競争力の強化、エネルギー及び地球環境問題の解決に貢献してきました。特に、新エネルギー・省エネルギー技術の開発及び実証試験並びに導入助成等の導入普及業務を積極的に展開することにより、新エネルギーの利用拡大と更なる省エネルギーを推進しています。さらに、エネルギーの安定供給と地球環境問題の解決に貢献していきます。

(独)産業技術総合研究所は、多岐にわたる分野の研究者集団の融合と創造性の発揮による研究活動を通じて、新たな技術シーズの創出、産業技術力の向上や新規産業の創出など、我が国の経済的発展に貢献し、国民の生活の向上に寄与しています。環境・エネルギーに関する技術の分野では、環境負荷の小さい新エネルギー技術、エネルギー蓄積・回収などの省エネルギー技術、エネルギーの多様化・分散化を図るネットワーク技術、環境汚染の予測・予防・対策技術、希少資源の循環技術等の研究開発を行っています。

◆ 主催・共催について

 主催:

経済産業省

 共催:

(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構、(独)産業技術総合研究所、(財)新エネルギー財団

 協力: 加森観光(株)、積水ハウス(株)、シャープ(株)、ゼファー(株)、トヨタ自動車(株)、三菱重工業(株)、九州電力(株)、(株)マテリアルハウス、アキレス(株)、松下電器産業(株)、(財)山形県産業技術振興機構有機エレクトロニクス研究所、積水化学工業(株)、太平洋セメント(株)、(株)INAX、他

展示機器等の詳細

○太陽光発電システム(提供:積水ハウス(株))

NEDO技術開発機構が従来から研究開発を推進してきた太陽光発電システムは、地球温暖化への影響を極力少なくするCO削減の方策として有効です。
屋根材と一体化した瓦型太陽光発電システム(発電パネルはシャープ(株)製)を14.5kW搭載。一般的な生活で必要なエネルギー以上の発電を行えます。産業技術総合研究所とシャープ株式会社は、太陽光発電パネルの発電効率について共同研究を行っています。

太陽光発電システムの写真

○小型風力発電機(提供:ゼファー(株))

エアドルフィンは、NEDO技術開発機構の支援及び産業技術総合研究所等の材料・設計・制御技術の連携から誕生した汎用小型風力発電機です。高強度カーボン繊維翼などによる超軽量化、ふくろうの翼に学んだ低騒音化技術、風速50m/sまで連続運転可能な制御技術等により、市街地から過酷な環境の沿海部等まで、様々な場所で安定した発電を実現し、世界24ヶ国に設置されています。
小型風力発電機の写真

○ポータブルリチウム電源装置(提供:九州電力(株)、三菱重工業(株))

九州電力と三菱重工業は定置用・移動体用の大容量リチウムイオン電池を開発中であり、NEDO技術開発機構の事業にも参画しています。
また、九州電力は、リチウムイオン電池を用い、コンセントがないところで電力供給が可能な騒音・排ガスのない環境にやさしいポータブル電源装置を開発しました。この製品は、IHヒータ内蔵の大容量タイプで、コードレスで電力を供給します。

ポータブルリチウム電源装置の写真

○有機EL照明(提供:(財)山形県産業技術振興機構有機エレクトロニクス研究所)

有機EL照明は、エネルギー効率が高く、自然光により近い特性を持ち、水銀などの有害物質を含まないため、蛍光灯に代わる次世代照明として期待されています。既に蛍光灯並みの寿命と白熱灯を超える発光効率を実現し、今後更なる長寿命化と高効率化をめざします。

有機EL照明の写真

○高効率ヒートポンプ給湯機(提供:松下電器産業(株))

ヒートポンプユニットと貯湯ユニットが一つになった、コンパクトで高効率な自然冷媒ヒートポンプ給湯機です。コンパクト化するための技術開発をNEDO技術開発機構が支援しました。
※ヒートポンプとは、投入エネルギーの数倍のエネルギーを空気等の熱源から取り出す装置です。

高効率ヒートポンプ給湯機の写真

○家庭用燃料電池システム(提供:トヨタ自動車(株))

燃料からお湯と電気を高効率で取り出す家庭用燃料電池コージェネレーションシステムは、省エネ性が高く、COの排出も少ない環境に優しいエネルギーシステムです。低コスト、高耐久性化、高信頼性化などの技術開発により世界に先駆けて本格的に導入されることとなりました。

家庭用燃料電池システムの写真

○エコセメント(提供:太平洋セメント(株))

エコセメントは、NEDO技術開発機構の支援を受けて開発した都市ごみ焼却残さ等をセメント1tonあたり500kg以上使用する環境に配慮された新しいセメントです。
埋立て処理されている都市ごみ焼却残さを大量に再資源化することで、ごみ処理負荷の大幅な軽減を実現しています。2001年4月には、千葉県で世界初のエコセメント工場が稼動を開始しています。

エコセメントの写真

○間伐材・廃棄木材利用木質材料(提供:積水化学工業(株))

エコバリューウッドは、住宅解体時に発生する廃木材や間伐材を原料とし、NEDO技術開発機構の支援を受けて開発した独自の成形技術により柱や梁など構造材へ再生した木質材料です。材料として再利用することで、廃木材リサイクル率の向上や森林の整備・保護に貢献します。また本製品のユニークな黒い模様は、樹皮や葉に含まれるタンニンを原料とした新接着剤によるものです。

間伐材・廃棄木材利用木質材料の写真

○ハイブリッド断熱ボード(提供:アキレス(株))

ハイブリッド断熱ボードは、従来の硬質ウレタンボードの2分の1の厚さで同じ断熱性能を保つことを可能にした断熱建材です。すでに家電等に用いられている真空断熱材を硬質ウレタンボードと組み合わせています。真空断熱材の高機能・高性能化や住宅への施工の実証段階でNEDO技術開発機構が支援しました。

ハイブリッド断熱ボードの写真

○光ダクトシステム(提供:(株)マテリアルハウス)

光ダクトシステムは自然光を室内の照明に利用するための装置で日中の照明用電力削減に貢献します。設置後の11年にわたる追跡調査などで長期間メンテナンスが不要な事を確認しています。実証段階でNEDO技術開発機構が支援しました。

光ダクトシステムの写真

○調湿建材(提供:(株)INAX)

エコカラットは、通産省工業技術院名古屋工業技術研究所(現 産業技術総合研究所 中部センター)と共同開発した建材です。優れた調湿特性により、冬の結露や梅雨のジメジメを抑えます。エネルギーを使わずに、機能を発揮しますので、省エネルギーに貢献することができます。ホルムアルデヒドや臭いを吸着する機能も有しています。

調湿建材の写真

○次世代省エネ液晶テレビ(試作機)(提供:シャープ(株))

年間200kWhの超低消費電力と、主要部2cmの薄さを実現した次世代型の薄型液晶テレビです。シャープ亀山工場で製造する高性能液晶パネルについては、産業技術総合研究所との共同研究において開発された、インクジェットを利用したカラーフィルター製造技術等の技術成果を利用しています。

次世代省エネ液晶テレビの写真

○計画換気システム(提供:積水ハウス(株))

全室の空気を24時間機械制御する、セントラル方式の「アメニティー換気システムII」。外気を室温に近づけて取り入れる熱交換方式で、冷・暖房時の熱の損失を抑え快適性を高めます。また、サイクロンユニットと高性能な外気清浄フィルターを装備した換気ユニットの採用により、アレルギー原因の一つ、花粉の室内への侵入を大幅に低減します。

計画換気システムの写真

関連情報

ゼロエミッションハウスの展示について (経済産業省 資源エネルギー庁)