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お知らせ記事2008/03/12

産総研中国センターの移転整備に関する基本計画について

ポイント

 産業技術総合研究所は、中国センター(広島県呉市)を、木質など非食糧系バイオマスの研究開発と人材育成をアジア規模で推進するため、東広島市の広島中央サイエンスパークに移転する。また、呉市において沿岸海洋研究で必要となる臨海部観測研究機能を整備・維持する。

概要

● 移転整備の目的

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】は、地球環境問題への対応として、バイオマス利用が世界的に進められる中、我が国の政策的枠組に基づき、平成19年4月、中国センターにアジアバイオマス研究コアを設置した。このコアにおいて中核となるバイオマス研究センターは、国際的な研究機関として、中国地域の優れた自然環境と重化学工業等の産業集積を背景として、木質など非食糧系バイオマスの研究開発と人材育成を推進する。

● 移転整備に関する基本計画の検討

 理事長の諮問委員会である外部有識者会議(「バイオマスと人材育成に関する検討委員会」、委員長:森田裕二 日本エネルギー経済研究所理事)による提言に基づき、平成19年8月、移転整備の背景と目的、研究と人材育成の今後展開・戦略などの項目に関する、「中国センターの移転整備に関する基本方針」を決定した。

 この基本方針に基づき、(1)移転先の地点、(2)資金計画とスケジュール、(3)主要な研究機能、(4)生活業務環境の整備、(5)地域ネットワークの強化、(6)公正かつ透明な手続きの実施、(7)健全な資金計画の策定と実施、などの項目について具体的検討を行い、3月10日に基本計画として決定した。


基本計画骨子

基本方針 (H19.08.09決定)

基本計画 (H20.03.10決定)

(1)

東広島市への移転、および呉市における臨海部観測研究機能の整備・維持

  • 包括連携協定を締結した広島大学とのバイオマス研究における連携強化に有利で、バイオマス燃料の実験・実証研究施設や海洋研究実験施設など大型施設が設置可能な、東広島市の広島中央サイエンスパークに移転し、新たな地域拠点として機能強化を図る。
  • 施設規模は概ね1万m2とし、最低必要費用は60億円を予定する。
  • 海洋環境プロジェクトの一部として、呉市の阿賀マリノポリス地区に設置した臨海実験施設において、引き続き研究開発を推進する。

(2)

資金計画の成立に基づく第二期中期計画期間内の移転実施

  • 平成20年に呉市広の土地などの資産売却し、東広島市の土地取得を行った上で、建物建設に着手する。
  • 平成21年12月頃に施設を完成させ、移転を開始し、平成22年3月頃に計画を完了させる。

(3)

移転先における優れた研究機能の整備

  • 概ね150人程度の研究者、事務系職員が活動を行う研究本館に加え、装置実験を主体とする実験別棟や屋外実験場を設ける。
  • 化学系実験室には局所換気設備や実験用ガス配管等を備える。
  • 生物系の実験室についても設置する。
  • バイオマスベンチプラント等が設置できる大空間実験室を設ける。

(4)

職員等の生活・業務環境変化への対応

  • 住宅の確保など東広島市における住環境を整備し、職員の通勤に関する負担を軽減する。
  • 就業時間を柔軟に設定すること等により朝夕の渋滞時間帯への通勤の集中が発生しないようにするなどの対策を行う。

(5)

地域ネットワークの維持強化

  • 地域発イノベーションを創出するため、産業や大学等と連携した産業技術ポスドク育成事業などの人材育成を行う。
  • これまで呉市を拠点として培ってきた、大学や企業などとのネットワークを維持・強化し、また距離的に離れている公設試などとも連携を図る。

(6)

公正かつ透明性を持った手続きの実施

  • 都市計画や建築基準法、その他必要となる法令、基準、行政指導等の遵守を徹底する。
  • 資産売却や調達、建設等の手続きにおいて、一般競争入札等を採用するなど、高い公正性と透明性を確保する。

(7)

健全な資金計画の策定と実施

  • 複数の土地等を売却し、特許料収入などの目的積立金や運営費交付金から充当を行うことにより、新たな負担を国庫に依存しない資金計画とする。


関連資料

今後の予定

 今回決定した基本計画について関係機関に説明を行い、政府や地域、研究コミュニティ等からの理解と協力に基づいて、中国センターの移転整備を行う。

 必要となる資金については、複数の土地を含む研究所資産を売却し、特許料収入等の計画的積み立てを活用するなど、自己資金を基本とし、合理的かつ健全な資金計画の下、移転を実施する。この資金計画が成立することを前提として、国際バイオマス利用研究・人材育成事業の早期本格化のため、第二期中期計画期間内(平成21年度まで)に移転を行う。