産業技術総合研究所は、中国センター(広島県呉市)を、木質など非食糧系バイオマスの研究開発と人材育成をアジア規模で推進するため、東広島市の広島中央サイエンスパークに移転する。また、呉市において沿岸海洋研究で必要となる臨海部観測研究機能を整備・維持する。
● 移転整備の目的
独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】は、地球環境問題への対応として、バイオマス利用が世界的に進められる中、我が国の政策的枠組に基づき、平成19年4月、中国センターにアジアバイオマス研究コアを設置した。このコアにおいて中核となるバイオマス研究センターは、国際的な研究機関として、中国地域の優れた自然環境と重化学工業等の産業集積を背景として、木質など非食糧系バイオマスの研究開発と人材育成を推進する。
● 移転整備に関する基本計画の検討
理事長の諮問委員会である外部有識者会議(「バイオマスと人材育成に関する検討委員会」、委員長:森田裕二 日本エネルギー経済研究所理事)による提言に基づき、平成19年8月、移転整備の背景と目的、研究と人材育成の今後展開・戦略などの項目に関する、「中国センターの移転整備に関する基本方針」を決定した。
この基本方針に基づき、(1)移転先の地点、(2)資金計画とスケジュール、(3)主要な研究機能、(4)生活業務環境の整備、(5)地域ネットワークの強化、(6)公正かつ透明な手続きの実施、(7)健全な資金計画の策定と実施、などの項目について具体的検討を行い、3月10日に基本計画として決定した。
基本計画骨子
今回決定した基本計画について関係機関に説明を行い、政府や地域、研究コミュニティ等からの理解と協力に基づいて、中国センターの移転整備を行う。
必要となる資金については、複数の土地を含む研究所資産を売却し、特許料収入等の計画的積み立てを活用するなど、自己資金を基本とし、合理的かつ健全な資金計画の下、移転を実施する。この資金計画が成立することを前提として、国際バイオマス利用研究・人材育成事業の早期本格化のため、第二期中期計画期間内(平成21年度まで)に移転を行う。