独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)と、独立行政法人 海洋研究開発機構【理事長 加藤 康宏】(以下「海洋機構」という)は、連携・協力に関する包括的協力協定を、3月7日(金)に締結しました。
本協定は、両法人間の研究交流を円滑に実施し、相互の研究分野について緊密に連携することで、相互の発展と海洋科学技術の水準の向上に資することを目的とします。本協定により、研究開発を実施する両法人間の組織的な協力を行うことが可能になります。
海洋機構は、海洋研究船や探査機等の研究インフラを保有し、これまで海洋科学技術の分野で幅広い研究開発を実施してきました。また、産総研は、海底熱水系における生物・地質相互作用の解明に関する国際共同研究や千島海溝の巨大地震の基礎的研究などの海洋調査観測を通じた研究、海洋地質図の出版など、防災や海洋資源開発に貢献してきました。
今後、本協定に基づき、船舶等の研究インフラの共同利用、各分野の研究者の交流を実施いたします。これらにより、我が国の海洋研究の発展、海洋開発を通じた社会への還元が期待されます。
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海洋機構の地球深部探査船「ちきゅう」
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平成19年4月に制定された海洋基本法では、海洋の持続可能な開発及び利用と海洋環境の保全との調和、海洋に関する科学的知見の充実等を基本理念としており、海洋資源の開発及び利用の推進、海洋調査・海洋科学技術に関する研究開発の推進、海洋産業の振興及び国際競争力の強化等が基本的施策となっています。沿岸域を含む海洋は、様々な分野の研究対象であり、未開拓な部分を多く有しています。
これまで、海洋機構と産総研は、個別課題ごとに共同研究契約等を結び、実施してきました。潜水・海洋調査船を用いた研究、及び科学技術振興調整費による課題等で幅広く共同した研究を実施し、現在もスマトラ島沖地震関連の緊急海底調査等を実施しています。しかし、統合国際深海掘削計画(IODP)および国際陸上科学掘削計画(ICDP)が進行するなど、単に研究面での参加だけではなく、国際計画推進への貢献、研究者の交流など、比較的長期的な共同研究を継続することや、分野融合的に行う必要がある新しい共同研究を含めた研究協力を進める上で、組織的で総合的な連携の協定を締結するに至りました。
本協定の締結後は、海洋機構と産総研の各研究部署が連携して、研究開発テーマを立案し、共同研究等の形で、具体的な計画立案を開始する予定でおります。
今後、相互の物的・人的資源の相互利用・共同利用により、日本の海洋研究の発展と、海洋開発を通じた社会への還元に貢献することを目指します。