産総研 - ニュース お知らせ

お知らせ記事2007/09/28

産業技術総合研究所と常陽銀行が相互協力に関する協定を締結
-地域中堅・中小企業への支援機能を強化-

ポイント

  • 産総研と常陽銀行は、産業振興と地域経済活性化への貢献を目指した相互協力に関する協定を締結した。
  • 産総研は常陽銀行との連携を加えることにより、関東甲信越静地域における中堅・中小企業への支援機能の充実を図る。
  • 広域企業間連携の促進を通じたイノベーション創出の加速が期待される。

概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)と、株式会社 常陽銀行【取締役頭取 鬼澤 邦夫】(以下「常陽銀行」という)は、それぞれが進めてきた産業振興と地域経済活性化に貢献するための取組みを連携して行うため、9月28日(金)に相互協力に関する協定書に調印しました。

 産総研の技術支援による地域産業への貢献と、常陽銀行の企業支援に関する取組みを協力して進めることで、地域中小企業に対し、情報提供・コンサルテーションのみならず、技術支援ニーズの掘り起こしから技術開発・事業化まで連続的に支援することが可能となります。

 産総研はハブとなり、今回の常陽銀行との連携に加え、これまでに協力協定を締結した各行との連携をさらに進めていくことで、関東甲信越静地域における中堅・中小企業への支援機能の充実と企業間の広域連携の促進を図ることにより、イノベーションの創出を加速させていきます。

 今後、モデルケースを作り上げ、その蓄積を通じて、地域中堅・中小企業の技術経営革新に対する支援・協力を一層強化していきます。

産総研の地域中堅・中小企業への新支援スキーム図

産総研の地域中堅・中小企業への新支援スキーム


調印式の写真
河原 常陽銀行取締役副会長(左)、曽良 産総研副理事長(右)

社会的背景

 地域の発展と産業の振興に大きく寄与する産学官連携の動きは、年々活発化の一途をたどり、さまざまな形態での連携をとりながら定着・進展しつつあります。産総研は川上の企業シーズから川下の企業ニーズにいたるまで、あらゆるステージにおいて産学官の密接な連携による支援・協力を実現していくことで、中小企業の技術革新に対する土壌の醸成および新事業・新産業の創出に貢献できます。

 研究開発に取組む中堅・中小企業へ研究開発成果の移転を積極的に行う産総研と、地域中堅・中小企業への優れたネットワークと情報収集力・仲介能力を有する常陽銀行とが連携することにより、産学官連携の機軸としての役割をはたしていくとともに、さらなる発展が期待されます。

 また、産総研は、すでに、八十二銀行(長野県、本年5月)、静岡銀行(静岡県、本年8月)と協力協定を締結し、協働して地域中堅・中小企業への支援を図っています。

経緯

 産総研は、平成13年の発足以来、基礎研究から製品化研究まで幅広い連続した研究「本格研究」を通じて、大学と産業界、あるいは、地域間、国際間をつなぐハブ(結節点)として、持続的発展可能な社会を支える産業を実現するためのイノベーションの創出を推進してきました。

 一方、常陽銀行は、「健全、協創、地域と共に」という経営理念のもと、第9次中期経営計画において『質の高い総合金融サービス業』を目指して地域社会の発展および中小企業の持続的な成長を支援してきました。

 産総研と常陽銀行とでは、すでに、平成18年2月につくば国際会議場で、企業との連携を行うためのビジネスマッチング会を開催するなど、お互いの連携構築に向けて活動していました。

 これらを踏まえ、この度産総研と常陽銀行は、これまでそれぞれが進めてきた産業振興と地域経済活性化への貢献を、協働することによりさらに発展させるため、相互協力協定を締結することになりました。 

協定の内容

  • 常陽銀行は、拠点網および顧客組織を通じて技術的な支援を要請する地域中小企業を産総研に紹介します。
  • 産総研は技術的なアドバイスを行うほか、必要に応じて、共同研究・受託研究・ノウハウ開示等を行い、主に技術開発の面で当該企業を支援します。
  • 産学官連携による取組みを活性化し、新たな連携と相乗効果の創出を目指して「技術交流会」等を共同開催します。
  • 相互協力の実施事項を円滑かつ積極的に推進するために「連絡協議会」を共同で設置します。
  • 有効期間は、締結時から平成22年3月31日までとしますが、双方合意により延長可能とします。

今後の予定

 今回の協定締結により、地域中堅・中小企業に対し、情報提供、コンサルテーションのみならず、技術支援のニーズ掘り起こしから技術開発・事業化まで連続的に支援することが可能となります。

 今後モデルケースを作り上げ、その蓄積を通じて、地域中堅・中小企業の技術経営革新に対する支援・協力を一層強化していきます。

 さらに、産総研はハブとなり、常陽銀行とのほか、これまでに協力協定を締結した各行との連携をさらに進めていくことで、関東甲信越静地域における中堅・中小企業への支援機能の充実を図るとともに、企業間の広域連携を促進させ、地域中堅・中小企業の事業拡大を支援していきます。

用語の説明

◆本格研究
産総研では、未知現象より新たな知識の発見・解明を目指す研究を「第1種基礎研究」、既知の知識を幅広く選択・融合・適用する研究を「第2種基礎研究」、またプロトタイプなどの社会が利用可能な最終成果物を創り出すための研究を「製品化研究」と呼ぶ。
研究テーマを未来社会像に至るシナリオの中で位置づけて、そのシナリオから派生する具体的な課題に幅広く研究者が参画できる体制を確立し、第2種基礎研究を軸に、第1種基礎研究から製品化研究に至る連続的・同時並行的に進める研究方法論を「本格研究(Full Research)」と呼ぶ。[参照元へ戻る]