産業技術総合研究所・中国センター(広島県呉市)は、大学や政府機関、企業等との連携の下、バイオマスエネルギー利用技術開発による持続成長可能な地球社会の実現と、そのための国際人材育成事業を展開するため、現在の呉市から東広島市に移転し、新たな研究機能を整備する。また、呉市において沿岸海洋研究で必要となる臨海部観測研究機能を整備・維持する。
独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)は、バイオマスエネルギー研究の中核拠点であり、また、地域連携拠点の1つである中国センターについて、現在の呉市から東広島市に移転する基本方針を8月9日に決定した。
中国センターは、中国地域(岡山、広島、山口、島根、鳥取の5県)における高い産業集積と優れた自然環境の中で、連携に基づく地域発イノベーションを創出し、バイオマスエネルギー利用に関する国際水準の研究開発と人材育成機関として展開する。このため、大学や国・県の関連研究機関等が立地し、これらとの連携や機能の利用が見込まれ、さらに、国際空港、新幹線、高速道路網等の基幹交通網へのアクセスに優れる東広島市に移転を行う。また、呉市において沿岸海洋研究で必要となる、臨海部観測研究機能を整備・維持するとともに、中国センターがこれまで同市を拠点として培ってきた大学や企業等とのネットワークを維持し、また強化するための方策を講じる。
移転整備については、複数の土地を含む研究所資産を売却し、特許料収入等の計画的積み立てを活用するなど、自己資金を基本とし、合理的かつ健全な資金計画の下、実施する。
この資金計画が成立することを前提として、国際バイオマス利用研究・人材育成事業の早期本格化のため、第二期中期計画期間内(平成21年度まで)に移転を完了させることを目標とする。
本年1月、東アジアサミット(於 フィリピン・セブ島)において、我が国によるアジア大のバイオマスエネルギー利用や新燃料に関する共同研究と人材育成を提唱し、サミット各国が合意した。この合意に基づき、同4月に中国センターのバイオマス研究センターと新燃料自動車技術研究センター等を中核とするアジアバイオマス研究コアを産総研に設置した。
産総研は、木材や農業廃棄物などの非食糧系バイオマスのエネルギー利用について、アジア諸国との共同研究とそれに基づく人材育成事業に着手するとともに、その将来の展開について検討を行っている。
本年7月に外部有識者による検討委員会「バイオマス研究と人材育成に関する検討委員会」(委員長 森田裕二氏 (財)日本エネルギー経済研究所理事)を理事長諮問機関として設置し、産総研の今後の事業展開のあり方、中国センターの機能整備のあり方等について審議した。
8月9日に、産総研は、外部有識者による検討委員会の審議結果を踏まえ、「中国センターの移転整備に関する基本方針」を決定した。
中国センターの移転整備に関する基本方針に基づき、具体的な調査・検討と地方公共団体、共同研究・連携主体、関係省庁等の関係機関への説明を行い、速やかに基本計画を策定する。
基本計画について、関係機関に説明を行い、政府や地域、研究コミュニティ等からの理解と協力に基づく移転整備を実施する。
国際共同研究と人材育成の枠組み(検討中) |