独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)と独立行政法人 土木研究所【理事長 坂本 忠彦】(以下「土木研」という)は、我が国の学術、産業技術の振興、並びに、安全で安心な持続可能な社会の建設に寄与することを目指して、連携・協力協定に調印した。
本協定の下、産総研と土木研は、相互の長所と得意分野を持ち寄ることにより、地質・地盤・材料・環境・情報・生物分野を中心にした、広範な研究連携・協力を展開し、研究施設・設備等の相互利用、研究者の研究交流を促進する。そのため、組織的に研究テーマのマッチングを図り、研究開発を効率化する。
また、現在進めている地質情報と地盤工学情報を統合する「統合型地下構造データベースの研究」を推進すると共に、今後の多様な連携を検討して、従来にない高度な新機軸を生み出し、異分野融合によるつくば発のイノベーション創出に資することを目標とする。
同時に、学術・産業の振興と合わせて、安全で安心な社会基盤の構築と持続可能な社会の実現に向け、両研究所の技術を共同して社会へ移転することにより、相互の研究分野に関する緊密な連携・研究協力の促進を通じた社会貢献を果たす。
坂本 土木研理事長(左)、吉川 産総研理事長(右)
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筑波研究学園都市に国立研究所が移転して四半世紀以上経過した。個々の研究者同士や、プロジェクト毎の協力連携は進んできたが、研究所の集積による相乗効果は、期待された効果をあげているとの評価が高まっていない。
総合科学技術会議の第三期基本計画においても、筑波研究学園都市の研究所間連携や融合の必要性が述べられているので、縦割りを越えた組織的な連携を今後より強化する必要がある。筑波研究学園都市の研究所のもつ幅広く高いレベルの研究ポテンシャルを活用するため、研究所間の連携・協力協定を締結して、より効果的な研究開発を組織的に促進すべきことから、両研究所間で積極的アプローチが開始された。
産総研と土木研は、地質分野では、平成18年度から科学技術振興調整費(重要課題解決型研究)「統合型地下構造データベースの研究」の中において共同研究を実施している。
また、環境分野でも、平成13年度以来、下水汚泥の有機性廃棄物の有効活用などの共同研究を実施してきた。ロボット技術の応用なども相互交流を進めているなど、個別の研究交流を推進してきている。
地質・地盤・材料・環境・情報・生物等の広範な分野において、両研究所の高い研究ポテンシャルを用いた研究協力等について協議を重ね、新たな協力を探るべく研究所視察等を実施した上で、分野融合的な研究成果を生み出すような、緊密な横の協力・連携を目指し、連携・協力協定を締結するに至った。
本連携・協力協定の下に、連携研究テーマ設定のため、研究情報の交換、施設の相互視察等を実施するとともに、定期的に連携協議会・連携推進会議を開催し、広範な分野での研究連携を推進、両研究所で研究テーマのマッチングを図る。
また、現在進めている「統合型地下構造データベースの研究」を推進すると共に、今後、例えば、地盤の物理探査技術の開発、土壌の自然由来汚染など地盤環境汚染対策技術の開発、水質浄化技術の開発、洪水氾濫解析へのグリッドデータの適用などの連携を検討して、従来にない高度な新機軸を生み出し、異分野融合によるつくば発のイノベーション創出に資することを目標とする。