独立行政法人産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)は、ベンチャー企業・中小企業の開発する高度な検査・計測機器が、「納入実績がない」、「プロトタイプが実用化に耐えない」等の理由により、販路が拡大できていない現状を打破するため、公的機関による共同研究を通じた実証試験とその結果のPR等を行い、機器の調達が促進されることを目指す事業を新たに実施する。
この事業は、研究開発型ベンチャー企業・中小企業の創出する機器の市場への普及を促進する新たな事業として、経済産業省【経済産業大臣 甘利 明】が平成19年度に企画競争公募した、『中小・ベンチャー企業の検査・計測機器等の調達に向けた実証研究事業』(「産業技術研究開発事業(中小企業支援型)」)で、産総研は、この公募に応募し、本事業の実施機関として採択された。
産総研はこの事業を実施するために、研究開発型ベンチャー企業・中小企業に対し、産総研との共同研究を通じた検査・計測機器等の研究開発および実証試験を行う研究課題の募集を開始した。本事業において産総研は、研究開発型ベンチャー企業・中小企業と高度な検査・計測機器について共同研究による実証試験を行い、実証データを公表するとともに、調達先情報を広く提供する予定である。さらに産総研等のニーズに基づき本事業で実証を行い、実用化に成功した検査・計測機器等については、産総研等の公的機関が自己資金により調達する。これらにより、研究開発型ベンチャー企業・中小企業の革新的な技術による製品の市場への導入が加速され、我が国のイノベーションの創出に寄与するものと期待される。
中小・ベンチャー企業の検査・計測機器等の調達に向けた実証研究事業
(「産業技術研究開発事業(中小企業支援型)」)に係る
実証研究課題募集スキーム |
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わが国の活力を維持・増幅していくため、継続的なイノベーションの創出が期待されている。ベンチャー企業はイノベーション創出の重要な担い手であり、政府としても、従来から投資環境の整備や技術開発支援など、ベンチャー企業の創出・成長のための各種環境整備・支援策を実施してきた。しかし、米国が世界的なベンチャー企業を数多く輩出している状況と異なり、わが国の経済成長に大きく寄与するような革新的ベンチャー企業はいまだ十分に創出されていない。その理由として、革新的な技術開発を行う研究開発型ベンチャー企業・中小企業の開発する機器等については、「納入実績がない」、「プロトタイプが実用化に耐えない」、「製品のマーケティング調査が十分なされていない」、「製品が技術シーズ寄りになっておりマーケットニーズに合致していない」等の理由により販路が拡大できていないこと等が挙げられる。我が国のイノベーションの創出のためには、革新的な技術の市場への導入が必要であり、このためには、研究開発型ベンチャー企業・中小企業の創出する機器の市場への普及促進策が求められていた。
普及促進ための先導的な取り組みとして、高度な検査・計測機器等について公的機関による共同研究を通じた実証研究とその結果のPRを行うことにより、それらの機器の調達促進を目指す取り組みが期待されていた。
上記の背景を踏まえ、経済産業省は、研究開発型ベンチャー企業・中小企業の創出する機器の市場への普及を促進する新たな事業として、平成19年度から『中小・ベンチャー企業の検査・計測機器等の調達に向けた実証研究事業』(「産業技術研究開発事業(中小企業支援型)」)を立ち上げた。平成19年度の事業規模は一般会計798百万円、事業期間は平成19年度から平成21年度の3年間を予定している。
経済産業省は、この事業を実施する公的機関を、平成19年4月27日から6月4日までの期間、企画競争公募した。産総研は、計量標準の維持・供給を主要業務の一つとし、計測技術開発に高いポテンシャルを有することから、この新規事業を実施するに最もふさわしい公的研究機関であると判断し、この公募に応募し、本事業を実施する機関として採択された。
本事業の内容は、以下の3点から構成される。
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産総研は、本事業により実証試験を行う高度な検査・計測機器の研究課題を研究開発型ベンチャー企業・中小企業に広く募集する。
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産総研は、採択された課題について、中小・ベンチャー企業との共同研究を通じて機器の実用化に向けた実証試験を行い、実証データを公表するとともに、調達先情報を提供等する。
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産総研等のニーズに基づき本事業で実証を行い、実用化に成功した検査・計測機器等については、産総研等の公的機関が自己資金により調達する。
産総研は、研究開発型ベンチャー企業・中小企業に対し、産総研との共同研究により実証試験を行う高度な検査・計測機器等(主に研究開発独法や大学、企業の研究部門などの研究を行う組織において研究開発等に利用される機器)の研究課題の募集を開始した。
募集する案件は、
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中小・ベンチャー企業が実証を希望する検査・計測機器等の研究開発課題
中小・ベンチャー企業において開発中の、研究を行う組織において研究開発等に利用される高度な検査・計測機器等のうち、産総研との共同研究により開発および実証試験を行いたい機器等の実証研究課題
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産総研が提示する検査・計測機器等を開発する中小・ベンチャー企業
産総研が提示するニーズに合致する検査・計測機器等を共同研究により開発可能な中小・ベンチャー企業
であり、7月31日(火)を締め切りとしている。
応募された課題は、外部審査委員を含む審査委員会で厳正に審査のうえ、8月中に実施課題を選定する。選定された実施課題は、9月中に産総研と共同研究契約等を締結のうえ、研究を開始する。
本事業の実施を通じて産総研は、研究開発型ベンチャー企業・中小企業と高度な検査・計測機器について共同研究による実証試験を行う。実証試験課題の選定および実施にあたっては、各課題にプロジェクトマネージャーとして産総研の産学官連携コーディネータを配置し、適切に進捗管理するほか、必要に応じて各都道府県の公設試験研究機関との連携を図る。また実証試験を行う検査・計測機器については十分なマーケティング調査を行い、必要に応じて事業計画をブラッシュアップすることにより、開発する機器の市場への普及促進を支援する。実証試験によって得られた実証データは産総研のホームページ、広報誌や様々なイベント等を通じて積極的にPRする。また、産総研の地域センターを活用した全国ネットワークを通じて中小・ベンチャー企業に大学・公的研究機関等の調達先情報を広く提供する。さらに産総研等のニーズに基づき本事業で実証を行い、実用化に成功した検査・計測機器等については、事業化後、産総研等の公的機関が自己資金により調達する。
これらにより、研究開発型ベンチャー企業・中小企業の革新的な技術による製品の市場への導入が加速され、我が国のイノベーションの創出に寄与するものと期待される。
今後、募集に当たって、以下の通り産総研各地域センターにおいて公募説明会を予定している。
[説明会の日時及び場所]
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北海道地区 北海道センター札幌大通りサイト
平成19年7月11日(水)15時~16時
札幌市中央区大通西5丁目8番地 昭和ビル1階
http://www.hint-sapporo.jp/
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東北地区 東北センター青葉サイト
平成19年7月10日(火)15時~16時
仙台市青葉区一番町4-7-17 小田急仙台ビル3階
http://unit.aist.go.jp/tohoku/asist/index.html
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関東地区 秋葉原事業所
平成19年7月9日(月)15時~16時
千代田区外神田1-18-13 秋葉原ダイビル10階
http://www.aist.go.jp/aist_j/guidemap/tokyo/tokyo_map_main.html
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中部地区 中部センター
平成19年7月10日(火)15時~16時
名古屋市守山区下志段味穴ヶ洞2266
http://unit.aist.go.jp/chubu/ci/index.html
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関西地区 関西センター
平成19年7月13日(金)15時~16時
大阪府池田市緑丘1-8-31
http://unit.aist.go.jp/kansai/
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中国地区 中国センター
平成19年7月10日(火)15時~16時
広島県呉市広末広2-2-2
http://unit.aist.go.jp/chugoku/index.html
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四国地区 四国センター
平成19年7月12日(木)15時~16時
香川県高松市林町2217-14
http://unit.aist.go.jp/shikoku/sangakukan/index.html
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九州・沖縄地区 九州センター
平成19年7月11日(水)15時~16時
佐賀県鳥栖市宿町807-1
http://unit.aist.go.jp/kyushu/ci/