独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)は、経済産業省が提唱したイノベーション・スーパーハイウェイ構想を実践するため、12月1日付けで組織改革を行いました。
イノベーション・スーパーハイウェイ構想においては、研究と市場との双方向の好循環が必要とされており、その実現のためには研究と市場双方を見渡せる人材の育成・配置が不可欠です。また、研究成果を市場化するためには、従来の多様な機能を組み合わせ、ニーズに最適に対応するための組織的な取り組みが必要です。
以上の取り組みを具体化するために、産総研は、イノベーションのシナリオを描き、その実現のための産業界等との戦略的な連携やプロジェクトを立案・推進する産業技術アーキテクト職という人材を明示的に新設しました。また、研究成果の骨太化とイノベーションモデルの構築と実践を進めるために組織的な推進力を担う部署としてイノベーション推進室を新設しました。同時に、経営の立場から3名の理事がイノベーション推進を担当し、産業界等の経営層との連携を深めることにより、研究成果の事業化を促進していきます。
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図:本格研究の概念において、今回の体制変革は、科学から技術へと成長させた研究成果をさらに市場へ送り出し、イノベーションを創出する仕組みと位置づけられます。
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日本経済の成長を、少子・高齢化、資源エネルギーの供給確保、環境負荷低減等の制約条件の下で持続的なものとするためには、技術革新によるイノベーションを創出することによって、産業構造変革を達成することが必要です。
経済産業省を中心としてとりまとめられた「経済成長戦略大綱」が、平成18年7月6日の財政・経済一体改革会議において、政府・与党で決定されました。本大綱では、大学、公的機関、産業界、政府が連携し、研究から市場へ、市場から研究へと双方向で鋭い軸が通るような仕組み(イノベーション・スーパーハイウェイ構想)が打ち出されました。その実現に向けて、産総研として強化すべき機能について、今春から所内で議論を重ね、今回の体制変革に至りました。
産総研はこれまでに、本格研究の理念に基づき、科学から産業技術の創出に向けて、研究戦略を立て、それを着実に実行してきたところです。この度、本格研究の成果をさらに発展させて、持続的発展可能な社会を支える産業を実現するためのイノベーションとして結実させるメカニズムを構築することになりました。
背景で述べましたように、イノベーション・スーパーハイウェイ構想においては、研究と市場との双方向の好循環が必要とされており、その実現のためには研究と市場双方を見渡せる人材の育成・配置が不可欠です。また、研究成果を市場化するためには、従来の多様な機能を組み合わせ、ニーズに最適に対応するための組織的な取り組みが必要です。
以上から、今回初めて産業技術アーキテクトという人材を明示的に新設しました。また、組織的な推進力を担う部署としてイノベーション推進室を新設しました。それぞれの具体的な役割は以下の通りです。
・産業技術アーキテクトの役割
産総研内外、特に産業界の有識者と積極的に意見交換し、将来の社会ビジョン(社会的な環境変化や要請に対応した社会設計)の展望等を的確に捉えた上で、幅広く様々な分野にわたる産総研の研究成果を元に外部の研究成果も取り入れて、産業化シナリオを明確に描き、産業の重心移動を実現するための戦略的連携やプロジェクト等を立案・推進します。
産業技術アーキテクトのプロフィール:
これまでに主として電子デバイス開発の研究に従事し、産総研発足後は、エレクトロニクス研究部門長、企画本部副本部長を歴任。研究戦略の策定や種々の産業技術開発のプロモーションを行ってきました。
・イノベーション推進室の役割
公的研究機関の研究成果がイノベーション創出にどのように貢献しているかを定量的に評価するためのイノベーション指標を考案しその普及を行います。次に、産業技術アーキテクトが描くイノベーションのシナリオに基づき、産総研の多様な研究成果を統合して骨太化し、産総研と企業とのシナリオ共有による連携プロジェクト等を推進します。さらに、これらの実証的研究の成果をモデル化し、「産総研イノベーションモデル」として発信し、我が国のイノベーションシステムの構築に貢献します。
また、新たなスキームによるベンチャー創出やイノベーションを担う人材の育成に取り組みます。
新体制では、今後、以下の項目について重点的に取り組みます。
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イノベーション創出の産総研モデルの構築
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R&I指標の開発
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新産業のコンセプト提言とその実証的研究の推進
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産総研と企業とのシナリオ共有による連携プロジェクトの推進
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先端技術のプラットフォーム拠点形成の推進
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産総研のインフラをモデルとした社会基盤開発実証研究の推進
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新しいスキームによるベンチャー企業創出の推進
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イノベーションを担う人材の育成