独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という。)と国立大学法人 九州大学【総長 梶山 千里】(以下「九州大学」という。)は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO技術開発機構」という。)が、「新エネルギー技術開発プログラム」の一環として平成18年度から実施する「水素先端科学基礎研究事業」の委託予定先に決定されました。
燃料電池は、新エネルギー技術開発プログラムのキーテクノロジーですが、その燃料である水素を高圧化又は液化した状態で輸送・貯蔵する場合の水素や周囲の材料の物性については、いまだ世界的にも知見の集積が乏しい状況です。なかでも、高圧水素又は液化水素と接触する金属材料の水素脆化(水素が材料中に侵入することによって金属材料が脆くなる現象)やトライボロジー(摩擦、摩耗、潤滑現象)の諸問題のメカニズムは、水素を長期間、安全に利用するために早急に解明しなければなりません。
このため、NEDO技術開発機構は、水素について重要な科学的知見を集積して、水素を安全・簡便に利用するための指針を産業界に提供することにより、水素社会到来に向けた基盤整備を行うことを目的として、「水素先端科学基礎研究事業」の研究開発に参加する委託先を公募しました。同事業は平成18年度から平成24年度の7年間実施され、平成18年度の事業規模は、約17億円と予定されています。
産総研と九州大学は、これまでの研究蓄積をもとに、[1]高圧水素・液化水素による材料の脆化、疲労強度特性の低下、[2] 水素環境下でのトライボロジー(摩擦、摩耗、潤滑現象)の諸問題、[3]高圧化・液化した状態における水素物性、の基本原理の解明及び対策検討、さらに[4]これらの諸現象のコンピュータによるシミュレーション技術の開発、などの研究開発を共同提案しました。このたび、同提案が採択され、委託予定先に決定されたものです。
今回の決定を受け、産総研と九州大学は、分野横断的で強力な研究開発体制を構築し、「新エネルギー技術開発プログラム」の目的達成に向けて研究を推進します。