独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)と国立大学法人 徳島大学【学長 青野 敏博】、国立大学法人 鳴門教育大学【学長 高橋 啓】、国立大学法人 香川大学【学長 木村 好次】、国立大学法人 愛媛大学【学長 小松 正幸】、国立大学法人 高知大学【学長 相良 祐輔】は、各機関の連携による「研究開発を通じた社会への貢献」のため、相互に有する研究・人的資源を有機的に生かしながら、より効率的で効果的な研究協力関係を構築することに合意し、平成17年8月10日に地域の全ての国立大学と産総研による日本で初めての包括連携協力協定を調印・締結することに致しました。
この協定は、特色ある独自の研究・教育活動を続けてきた四国の全国立大学法人(以下「四国の各国立大学」という)と産総研(本部 東京)とがそれぞれ得意とする分野で補完し合い、理・工学、農学、医学、経済学などの学術研究から教育に至る広範な研究協力や人材交流を通して世界最先端の研究成果を生み出すとともに、その成果を四国を中心とする産業界・社会へ迅速に還元することを目指したものです。産総研四国センター【所長 一條 久夫】はその窓口となり、研究拠点及び連携拠点の「場」としての役割を担います。
包括連携協力協定では様々な連携が考えられますが、四国の国立大学と産総研で構成する『連絡協議会』における議論をもとに、各機関の高い研究ポテンシャルや技術シーズを組み合わせて、四国における健康環境関連などの骨太の研究課題を提案し、新産業創出を目指します。
四国は豊かな自然と癒しの里として知られる一方、高齢化の先進地域であり、持続的に安心して豊かな生活を営む健康長寿社会への関心は非常に高くなっています。健康に関する研究は多岐に亘り、様々な研究分野の知識と技術の組み合わせで推進すべき分野の横断的な特徴を持つため、四国の多様な研究ポテンシャルを結集する必要があります。
四国の各国立大学では、ヘルステクノロジー、糖質バイオクラスター、プロテイン・アイランド、海洋深層水など、健康の維持管理から増進に向けた高いレベルの研究開発が続けられており、産総研では、健康予知診断などの研究を推進する健康工学研究センターを平成17年4月1日付けで、四国センターに新設しました。
今回の包括連携協力協定により、四国内外の研究協力・交流が一層進展し、研究開発や教育を通した、経済的・社会的に生き生きとした「健康アイランド四国」の実現が期待されます。
例えば、以下の分野での連携協力が検討課題として考えられます。
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ナノテクノロジー・ライフサイエンス融合分野
健康工学研究にも関連するナノテクノロジー・ライフサイエンス融合分野は四国での産業クラスターシーズであり、四国の各国立大学で推進中の知的クラスターなどとも関連が深いものです。健康・疾病予知診断用の計測・デバイス開発技術では、既に、精密光計測、微細加工、生体物質機能解析などのテーマについて、四国の各国立大学と産総研四国センターの間で個別の研究協力が進められており、さらに、これら健康関連の課題を統合し、産総研全体の研究ユニットとも連携した取り組みの進展が期待されます。
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健康維持増進に向けた水環境創生分野
最近の四国は渇水に悩まされることが多く、健康的な水環境の提供による安心安全な生活の維持や緊急時の迅速な浄水確保など、健康的な生活環境を作り出し活用する技術開発は非常に重要です。これまでは、工学的な研究が中心でしたが、四国の各国立大学が有する医学などの知見も含めてより広範な連携と、成果の創出が求められる状況になっています。
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ものづくり(製造)技術分野
四国経済産業局の重点産業分野のひとつです。産総研四国センターには、金属やセラミック材料の接合・切断・表面加工、微細加工などの研究蓄積が有り、大学や四国東予地域企業などとの共同研究も行なわれています。今後は四国の企業はもちろん、四国の各国立大学のものづくり関連研究や、産総研全体の研究ユニットと広範に連携し、大学の研究生受入れやインターンシップなどの交流も盛んにして、四国のものづくり産業の発展・活性化を図っていきます。