産総研 - ニュース お知らせ

お知らせ記事2004/12/13

産総研、アジア地域での「持続可能な発展」へつなげる研究協力を開始
-ベトナム最大級の公的研究機関と研究協力協定を締結し、ジョイントワークショップを開催-

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)は、ベトナム最大級の公的研究機関であるベトナム科学技術院(Vietnamese Academy of Science and Technology,VAST)と研究協力協定を締結し、ジョイント・ワークショップ「The VAST-AIST WORKSHOP on Research and Development Collaboration」を平成16年12月15・16日にベトナムのハノイで開催する。

背景と展望

 産総研は、11月25日にタイの2つの研究機関と研究協力協定を締結したところであるが、さらにアジア諸国との連携を広め、アジア地域の「持続可能な発展」につなげるため、今回、ベトナムとの研究協力協定を12月15日に締結する。

 併せて、今後の共同研究の推進を図り、ベトナムが直面している環境問題を解決するための研究開発の促進を主なテーマとしたジョイントワークショップを開催する。具体的には、クリーン燃料・排ガス処理技術、排水処理・環境浄化技術、バイオマス利用による排水処理技術の開発、さらに、アジア特有の多言語でも利用可能なソフト開発を目指す。また、地質分野との連携を視野に入れたグリッド技術及びその利用技術も併せて展開し、海洋地質分野では、ベトナム沿岸域管理のためのデータ解析技術の開発を行う。

 産総研は、アジア地域の「持続可能な発展」を実現するため、アジア諸国と連携して、環境負荷低減技術、環境調和型の新エネルギー創出技術等の研究開発を進めている。今回のベトナム科学技術院との研究協力協定の締結、前回のタイの2つの研究機関との研究協力協定の締結もその一環である。今後もさらにアジア諸国との連携を図り、地球環境に配慮したアジア地域の発展に貢献していく予定である。

経緯

平成14年 2月 産総研からベトナム科学技術院の前身の自然科学・技術国立研究所への環境技術研究協力に関する代表団派遣(環境技術についての研究協力を提案)
平成14年12月 産総研からベトナム科学技術院の前身の自然科学・技術国立研究所へのバイオマス変換技術研究協力に関する代表団派遣(バイオマス変換技術研究協力を提案)
平成15年 5月 ベトナム科学技術院の前身の自然科学・技術国立研究所から産総研への環境技術およびバイオマス変換技術研究協力に関する代表団(副理事長他)派遣(環境技術およびバイオマス変換技術研究協力に関する意見交換、包括協力協定を締結する方向である事を確認)
平成15年 9月 ベトナム副首相および科学技術大臣の産総研訪問(産総研理事長および国際担当理事とベトナムとの協力に関し討議)
平成16年 2月 産総研からベトナム科学技術院への多分野の研究協力に関する代表団派遣(前記2分野の他、情報工学、地質など多分野に亘る研究協力について意見交換を行うと共に、包括協力協定の原案を提示し細部を説明、同原案についてベトナム科学技術院側で検討)
平成16年 3月 ベトナム科学技術院から産総研への多分野の研究協力に関する代表団(副院長他)派遣(引続き多分野の研究協力に関する意見交換)
平成16年 8月 ベトナム科学技術院から産総研への情報工学研究協力に関する代表団(ベトナム科学技術院情報工学研究所長他)派遣 (情報工学分野の産総研の研究者と研究協力に関する意見交換)
平成16年 9月 産総研およびベトナム科学技術院内部および両機関の間での包括協力協定に関する細部に亘る議論を終え、調印の為の手続きが完了

ワークショッププログラム

期間
平成16年12月15・16日(調印式は12月15日17:45-)
会場
Melia Hotel in Hanoi
参加者
産総研およびベトナム科学技術院の代表者および研究者両国の政府、公的機関、産業界、および大学からの来賓

ベトナム科学技術院の概要

 ベトナム科学技術院(Vietnamese Academy of Science and Technology,VAST)は、2004年1月16日に前身の自然科学・技術国立研究所 (National Center for Natural Sciences and Technology,NCST)を改組して創立された。自然科学・技術に関する研究開発の国の戦略を構築すると共に、研究開発を担う国立の機関であり、他のベトナムの省庁等と同様の内閣直属の機関で、院長および副院長は首相によって任命される。

 組織としては、本部の他に次の21の研究所等がある。
数学研究所、情報技術研究所、物理・電子技術研究所、地球物理学研究所、化学研究所、化学工学研究所、自然産物化学研究所、エコロジーおよび生物資源研究所、海洋学研究所、熱帯生物学研究所、生物工学研究所、力学研究所、応用力学研究所、物質科学研究所、地質学研究所、地理学研究所、熱帯技術研究所、環境技術研究所、情報・文書センター、ベトナム自然博物館、自然科学・技術出版所

 研究開発以外に自然科学・技術を担う高レベルの人材の育成を行うため、大学院生の教育プログラムも擁している。

 常勤職員は、約2400人であり、内約220人が教授または助教授、約690人が博士学位を有する。さらに長期契約研究者が約750人いる。大学院生は、修士課程が約220人、博士課程が約190人である。

今後の予定

今後は、定期的に合同ワークショップを開催し、ベトナム科学技術院との連携を深めていく予定である。