独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)が、かねてより「つくばセンター・つくば中央」に建設中であった「つくばセンター太陽光発電設備」がこのほど竣工致しました。
つくばセンター太陽光発電設備は、平成14年度補正予算「分散型エネルギー供給システム実証プラント導入のための高度化改修事業」の一環として、最高レベルの対環境性と省エネルギー性を有したエネルギー供給システムの一部として整備したものです。本設備の完成により、産総研つくばセンター・つくば中央では、太陽エネルギーからのクリーンな電気が年間100万kWh(当該地区の年間電気使用量の約0.8%、一般家庭約300世帯1)の年間電気使用量に相当)供給され、二酸化炭素の排出量が年間約300トン2)削減される見込みです。
産総研は、全国の研究拠点でこれまでにも定格出力の合計で約500kWの太陽光発電システムを導入してきました。本設備は、新たに国内最大規模となる定格出力844kWの分散型太陽光発電システムをつくばセンター・つくば中央に導入したものです。既存の太陽光発電システムと合わせると、太陽電池の定格出力は、つくばセンター・つくば中央だけで1MWp3)(メガワット・ピーク:1,000kWp)を超えました。
今回導入された太陽電池パネルは全部で約5,600枚(約6,500m2)にのぼり、総面積はサッカーグラウンド1面分(つくばセンター・つくば中央敷地面積の約0.7%)に相当します。これを、二酸化炭素の吸収能力と等しい森林面積に換算すると、つくばセンター・つくば中央の約1/4の敷地面積(240,000m2)4)に相当します。太陽電池パネルは、単結晶シリコン型・多結晶シリコン型・ヘテロ接合型・アモルファスシリコン型の4種類、9仕様を採用しています。太陽電池の直流出力を交流に変換するパワーコンディショナは、4kWユニットの7機種211台からなり、出力は構内配電網に連系されています。わが国は、2000年から太陽光発電の生産量と導入量で世界一となっていますが、この「つくばセンター太陽光発電設備」は、わが国の最新太陽光発電技術を一堂に集め、世界に向けてアピールするためのパビリオンと言えます。また、本設備には、運転特性記録用計測器と気象計測器が設置されており、多面的な特性評価が可能となっています。
わが国の2010年における太陽光発電の導入目標は、現在の64万KW(IEA(国際エネルギー機関)の最新統計による)の約7倍である482万kW(総合資源エネルギー調査会「長期エネルギー需給見通し」による)です。目標達成までの過程で、太陽光発電システムが地域コミュニティに集中的に導入されていくことが予想されており、このメガワット級発電出力の「つくばセンター太陽光発電設備」はその先駆的なモデルケースとなります。産総研では、今後も引き続き、先進的なエネルギー供給システムを導入して最高レベルの対環境性と省エネルギー性を実証・評価すると共に、環境調和型のエネルギー技術の研究開発を推進して行きます。
1)一般家庭(標準4人世帯)の年間電気使用量を3,400kWhとして計算。
2)電力会社の二酸化炭素排出源単位0.036kg/kWhから、太陽光発電システム製造時の二酸化炭素排出源単位0.007kg/kWhを差し引いた値(0.029kg/kWh)と仮定して計算。
(修正:電力会社の二酸化炭素排出源単位0.36kg/kWhから、太陽光発電システム製造時の二酸化炭素排出源単位0.07kg/kWhを差し引いた値(0.29kg/kWh)と仮定して計算。)
3)Wp(ワット・ピーク)とは、標準試験条件(日射強度1,000W/m2、エアマス1.5、太陽電池温度25℃)の状態に換算した太陽電池パネルの最大出力の単位。
4)森林1m2の二酸化炭素吸収能力を約1kgと仮定して計算。