独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)とセイコーインスツルメンツ株式会社【代表取締役社長 茶山 幸彦】(以下「SII」という)は、両者が保有するスプリットゲート型フラッシュメモリに関する特許の実施許諾契約を三洋電機株式会社【代表取締役社長 兼 COO 桑野 幸徳】と締結しました。
何度でも電気的に記憶の消去・書き込みができるROMであるフラッシュメモリは、パソコン、デジタルカメラ、家庭用ゲーム機などの記憶部分に現在広く使われています。スプリットゲート型とは、データ消去時の過剰消去エラーの心配がない構造を持ち、周辺回路の簡素化を図ることができるものです。
今回、実施許諾の対象となっている特許は、このスプリットゲート型フラッシュメモリに関するもので、ソース注入(ソースサイド注入)を行うことにより、記憶した情報の読み出し部分を大幅に広げることができるというものです。ソース注入とは、従来のドレイン側からのチャネル注入(ドレインサイド注入)に比べて、書き込み時の電流を桁違いに減少させ、読み出しを確実なものとし、かつチャネル長の微細化にも耐えられる技術です。また、CMOSロジックICの製造プロセスとフラッシュメモリ用製造プロセスとの共有化が容易であるので、CMOSロジックICとの混載に向いています。
この特許技術を用いることによって、フラッシュメモリの設計自由度が大きく増し、新たな技術市場での競争力を一段と強化することができます。
この技術は、高速プログラミングが可能であることからマイコンに内蔵されるフラッシュメモリとして理想的です。そして、現在パソコン、携帯電話などで利用されているフラッシュメモリにも広く応用されることが期待されることから、今後も、重要な技術となります。産総研とSIIは、フラッシュメモリ技術について強力な日本特許、海外特許を多数保有しています。この保有成果を広く活用いただくため、積極的に特許の公開を進めていきます。
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スプリットゲート型フラッシュメモリ断面図
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