産総研 - ニュース お知らせ

お知らせ記事2001/08/27

産総研、ボルドー大学と軟質材料の高分解能観測で覚書締結

概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所東北センター基礎素材研究部門とフランスボルドー大学I、分子物理とヘルツ波光学センター(CPMOH)との間でナノスケール表面科学及び走査型プローブ顕微鏡の観測技術とシミュレーションに関し、平成13年度から3年間に渡って研究協力をすることを謳った覚書が締結された。

 ナノテクノロジー・材料は経済産業省の新市場・雇用創出に向けた重点プランの中で、環境、バイオテクノロジー、情報通信と並ぶ重点的戦略基盤・融合技術分野とされており、上記の覚書内容はそれの一翼を担うテーマを含んでいる。特に、軟質材料の表面観測については表面の分子が観測中に動いてしまうという難問があり、現在日本をはじめ欧米諸国でその観測法について研究が進められている。

 CPMOHの局所力検出法による軟質材料のナノ物理研究グループ長のJ.P.Aim飼試mらは局所力を検出するプローブと観測対象表面との間に働く相互作用力を実験とシミュレーションの両面から追求し、DNAや生物細胞など軟質材料のナノスケールにおける高分解能観測について成果を上げてきている。一方(独)産業技術総合研究所東北センター基礎素材研究部門高耐食性コーティング研究グループ(グループ長南條弘)では鉄鋼材料の表面を原子レベルで平坦化し、その上に柔らかい防食性有機分子の自己組織化により欠陥の極めて少ない吸着表面を作製し、材料の長寿命化技術の開発と吸着欠陥の観測評価法について研究している。

 これまで南條がボルドー大学を訪問し、分解能向上に向けた研究討議を重ね、500例に達するシミュレーションを分担して行い、互いに今後一層の研究協力の必要性を認め、8月1日覚書締結に至った。その具体的な成果として、表面の柔らかい特性に起因した相互作用力がプローブ振動の位相変化に顕著に現れることをシミュレーションで見つけ、位相検出の意義を明らかにした。この内容は9月2~5日京都で行われる「NC-AFM2001国際会議」で発表される。

  また、J.P.Aim飼試mは9月6日に東北センターを訪問し、覚書締結式とその記念講演を行う予定となっている。

講演会 軟質材料表面のナノスケール観測法に関する最近の動向(仮題)
日時  平成13年9月6日11:00~12:00
場所  (独)産業技術総合研究所東北センターA19会議室

註.NC-AFM:Non-Contact Atomic Force Microscope 非接触原子間力顕微鏡
毎年開催しており、今年が第4回大会 第1回も日本で開催。日本が進んでいる分野の一つ