来る5月22日(火)から5月25日(金)まで、東京ビッグサイト(有明・東京国際展示場)で開催される「ビジネスショウ2001 TOKYO」において、独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】の開発した「超鏡(ハイパーミラー)システム」の実用化を目指したデモ公開が、共同研究先である株式会社 立花商会【代表取締役社長 渡邊 武雄】及び株式会社 アイウェアラボラトリー【代表取締役 木村 幸三】によって実施されます。今回のデモ公開においては、ハイパーミラーの合成画像を利用することにより、遠隔地にいる専門家の指導が容易に受けられる、新しい専門店の形を提案いたします。
ハイパーミラーは、従来のテレビ電話やビデオ会議システムの常識を破るまったく新しい遠隔対話システムです。利用者は鏡を見るように、ハイパーミラーの画面を見ます。画面には、利用者だけでなく、遠隔地の相手やその周囲の物も一緒に映し出されます。つまり、ハイパーミラーでは、実際には遠くにいる人々が映画やテレビの特殊効果のように、同じ場所に一緒にいるような映像となり、それを使って対話が行われるのです。
従来のテレビ電話やビデオ会議システムでは、「相手は見えるが、遠い存在に感じる」という欠点があります。その理由のひとつに、相手と自分の視野が違うことがあげられます。例えば、東京にいる私と大阪にいる友達が話している場合、大阪にいる友達は大阪の風景とテレビ電話の中の私を見て、私は東京の風景とテレビ電話の中の友達の顔を見て話をすることになります。お互いが遠く別の場所にいることがあからさまになってしまいます。
これに対し、ハイパーミラーでは、合成された同じ映像を見て話をするため、このようなことが起こりません。また、画面上でのお互いの位置も自由に変えられるため、本当に一緒にいるような一体感が得られます。さらに、同じ場所にいる時のように、画面上で握手をしたり、肩をたたいたり、相手の持ち物などを指差すこともできます。
この、現実にはありえない「魔法の電子の鏡」の利用には、慣れが必要と思われるかも知れません。しかし、これを開発研究している 人間福祉医工学研究部門 森川主任研究員によれば、研究所一般公開等で、延べ600名以上の方々に利用してもらうなど、いろいろな心理実験を行い、人間の認知特性により容易に利用できることが確認されています。
そこで、この全く新しい遠隔対話ハイパーミラーの応用として、新しい形の専門店を提案します。
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一般に、チェーン店などで全国に支店があるような場合、各支店でのサービスの質にバラツキがあり、一定レベル以上の均質なサービスの維持は、規模の拡大に伴い困難になっています。そのため多くのチェーン店では、マニュアルの整備など社員教育の強化により対応していますが、それにも限界があります。結果的に、多くの店では、専門性の低いあるレベル止まりのサービスとなっています。
そこで、ハイパーミラーを用いた新しい形の専門店を提案いたします。それは、専門家のいる場所と全支店をハイパーミラーで結ぶことにより、どこの支店でも、同質な高レベルのサービスを受けることができるというものです。
このときの対話は、専門家からの一方的な指示だけではありません。各支店の顧客と店員、それに遠隔地の専門家を加えた自然な会話を通して、まさに専門家による対面販売と同質のサービスが実現されます。つまり、顧客毎の専門性の高い、きめ細かいサービスが可能になります。
今回のデモ公開では、お店の形態は取っておりませんが、遠隔地の相手と自然な対話が可能であり、提案したサービスが実現可能であることを、体験していただきたく思います。