独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)地質標本館【館長 利光 誠一】は、来たる7月15日より夏の特別展として「地質アナログ模型の世界」を開催します。この特別展では、地質図を模型・ジオラマという形で立体的に展示します。
ふだん地質図などをご覧になったことがない方々にも地質情報を体験しながら理解していただけるように、数々の工夫を凝らした展示を行います。例えば、地質の仕組みを示した地質ジオラマ、あるいは3Dプロッターと呼ばれる三次元造型機で作り出した地形模型に、地質情報を投影したプロジェクションマッピング型3D模型などを展示します。また7月19日の産総研つくばセンターの一般公開においては本特別展に関連した講演会を開催します。
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特別展ポスター |
1. 地質ジオラマのコーナー
地質学の基本となる地質図は二次元の図面ですが、実はその地域の地表だけではなく地下の構造、さらにその地域の成り立ちまで、いわば四次元の情報が描かれています。展示する地質ジオラマには、架空の土地の地質が三次元のアナログ模型として示され、地質の専門家でない一般の方にも見ただけで地質の様子を理解していただくことができます(写真1)。ジオラマには、その土地に生活する人々の営みなどもミニチュアで表現されています。
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写真1 地質ジオラマ |
2. 堆積平野の基盤深度模型のコーナー
このコーナーでは関東平野、大阪平野に広がる堆積平野の基盤(地下の凹み)の模型を展示します(写真2)。これら二つの平野には基盤を堆積層が覆ってできた平坦面が広がっています。このような基盤の構造と、地震が起きたときの揺れやすさ、地震動の広がり、断層の分布などを、模型を使って分かりやすく紹介します。
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写真2 大阪平野の基盤深度模型 |
3. プロジェクションマッピング型3D模型のコーナー
このコーナーでは産総研の公開特許である3D技術を使った模型を展示します(写真3)。この模型は3Dプロッターと呼ばれる三次元造型機で作った地形模型の表面に、地質図や地形図、衛星画像といった情報をプロジェクターで投影することでさまざまな地質情報を立体化(プロジェクションマッピング)するものです。展示する模型は富士山、筑波山、つくば市周辺の地形、そして千葉県の館山市にある見物(けんぶつ)海岸の模型の4種類です。富士山と筑波山の模型は直接手で触れて観察することができます。
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写真3 プロジェクションマッピング型3D模型 |
4. その他のアナログ地質模型のコーナー
このコーナーでは断層の動きを表現した模型などを展示し、さまざまな地質学的現象について解説します(写真4)。
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写真4 地形模型(左)と断層運動模型(右) |
5. 特別講演会およびつくばセンター一般公開時のイベント
7月19日に行われる産総研つくばセンターの一般公開では、特別講演会を開催します。実際に模型やジオラマをご覧いただきながら、それらの製作者である研究者が模型の見どころや地質の魅力、関東平野の地下構造などについて詳しく解説します。また一般公開の当日は地質標本館内において、会場内に展示されている各模型の解説も行われます。