産総研【理事長 吉川弘之】が所有している多機能セラミックス触媒関連技術(アパタイト被覆二酸化チタン光触媒等)に関する知的所有権及び研究成果を移転したベンチャー企業が平成14年10月25日(金)産総研中部センターとして初めて設立された(株式会社ノナミサイエンス【代表取締役社長 河村正幸】)。それに伴い、本年11月中を目処に、産総研セラミックス研究部門【部門長 亀山哲也】メソポーラスセラミックス研究グループ長 野浪亨が同社役員として参加する予定となっている。
部屋の臭いやシックハウス症候群の原因になるような、生活臭、細菌、有害物質などを除去するために空気清浄機や様々な薬剤が商品化されているが、それらには、消費電力量、薬剤そのものの毒性、高価であるなどの問題も多い。
これに対して光触媒を用いた環境浄化方法は、電力を全く使わずに、太陽光や蛍光灯の光だけで、半永久的に空気中や水中の有害化学物質を分解除去する事が出来る、省エネ且つクリーンな方法であるといえる。しかしながら、一方では光触媒は紫外光があたらないと機能しない、物質を活性炭のように吸着する事が出来ない、抗菌作用はあるが不十分であるなどの欠点もありその応用商品の拡大は思ったほど進んでいないのが現状である。
本移転技術である多機能セラミックス触媒関連技術(アパタイト被覆二酸化チタン光触媒等)は、これらの問題点を克服した画期的な環境浄化材料でありその市場は非常に大きいと考えられる。機能的には、滅菌性や漂白性にすぐれ、大腸菌やMRSA菌、タバコのヤニや様々な油汚れの除去などを短時間に行うことが出来る。さらには、応用としてクーリングタワーの藻の抑制、コンタクトレンズの洗浄剤、洗濯洗剤、食器や厨房器材の滅菌、食品の腐敗防止、カビ除去等の関連製品化が考えられる。本触媒で特に着目すべきメリットは、従来の抗菌材料や漂白材料には強い酸や塩素、毒性の高い薬品を使用したものがほとんどで人体に対する危険性も含んでいるのに対し、無機成分のみを用いた安全な物質であり、為害性もない点である。
株式会社ノナミサイエンスは、産総研が所有している多機能セラミックス触媒関連技術(アパタイト被覆二酸化チタン光触媒等)に関する知的所有権及び研究成果を基に、主に環境保全を目的として技術的アドバイスを行うとともに、その商品化を推進する事を目指し設立された。
同社は以下の3つの事業を柱としている。
1)テクニカルアドバイス事業として、アパタイト被覆二酸化チタン光触媒による環境浄化に関して技術的アドバイスを行う。また、技術的な評価を請け負うとともに、施工現場での環境測定等も実施する。
2)環境保全用セラミックス触媒の製造・販売事業として、アパタイト被覆二酸化チタン光触媒に関して製造/販売を行う。
3)研究開発事業として、産総研と共同研究を実施し、次世代素材の開発を行う。
・ 住所:名古屋市守山区大字下志段味字穴ケ洞2266-98(産業技術総合研究所中部センター内)
TEL:052-739-3600 FAX:052-739-2600
・資本金: 1,000万円
・設立: 平成14年10月
・代表取締役社長 河村正幸