新型コロナウイルス感染の終息が見えない中、安全にイベントなどを開催するには、どのような状況で感染が広がるかを知ることが重要で、社会的にも関心が持たれています。
特にスタジアムのような大規模施設でのイベントには、一度に多くの観客が集まることから入場者数、マスク着用の有無、混雑の程度、応援方法の違いなどが感染の広がりに影響すると考えられています。しかし、人の目では混雑の程度や応援方法などを定量的に把握することは困難です。
これまで、産業技術総合研究所(以下「産総研」という)では、公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(以下「Jリーグ」という)やクラブと連携し、スタジアムやクラブハウスなどにおける観客・選手やスタッフの感染予防のための調査を進めてきました。これらの調査結果などを踏まえ、1月4日に開催される2020JリーグYBCルヴァンカップ決勝においても、国立競技場内にカメラ、レーダー、画像センサー、音響センサー、CO2(二酸化炭素)計測器を設置し、入場者間の平均距離、マスクの着用の有無、応援方法などの行動、ロッカーなどでの選手・スタッフの社会的距離や発話状況、スタジアム内や選手・スタッフが活動する部屋のCO2濃度の変化などを測定します。
産総研が蓄積してきた知識をもとに、得られたデータから、スタジアムのどこで混雑が発生し、観客や選手・スタッフがどのように行動しているか、スタジアム内の各場所における密接、密集、密閉とどのように関係するかを分析します。これらの結果から、スタジアム内の密状態を把握できるようになれば、今後、より安全に大規模イベントを開催するための指針づくりに協力できると考えています。
なお本調査は、情報・人間工学領域 人工知能研究センター社会知能研究チーム、エネルギー・環境領域 安全科学研究部門リスク評価戦略グループおよび地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門地圏化学研究グループの3領域の連携により実施します。
- 人間の領域の矩形。拍手、万歳、ハイタッチなど10種類程度の行動の推定。マスクの有無の調査。
- 映像、レーダー、センサーなどによる人間の位置。ソーシャルディスタンシング。
- 音響センサーによる室内での音声など音イベントの方向・量。
- 測定場所のCO2濃度。
処理イメージ:左はレーザーレーダーの点群データの処理例。右はCO2濃度の変化のイメージ図。
個人が特定できない解像度によるカメラ画像を用いることにより顔の認識や個人の特定はいたしません。また音響センサーは、音量・方向を特定するもので、音声自体の録音は行いません。
本調査をもととした研究成果はホームページなどにて一般の人たちに分かりやすく報告します。 得られた知見はJリーグや国立競技場などに共有して今後の大会運営に生かしていきます。
また、詳細な研究成果については論文などで学術的な発表を行う可能性があります。 ホームページや論文などで研究成果を報告する際には個人が特定できないように加工したデータおよび統計情報を利用します。
広報部報道室
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