第一期の取組みでは、オープンイノベーション拠点として多彩な知の創造とその産業化へ大きな成果を挙げてきました。この成果を基盤に、平成27年度からスタートした第二期では、東京大学が五つめの中核機関として参加することが決まり、「つくば」の外へとイノベーションアリーナを拡大し、さらに知の創造と産業化の取り組みの対象を、イノベーションの芽となる可能性を有する科学技術へ拡大する流れが加速されました。これを受けて「つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)」に代わる適切なブランド(名)について関係機関で検討してまいりました。
この結果、「つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)」はブランドとして一定の価値を形成しているものの、「TIA(ティー・アイ・エー)」へ表記を簡素化することしました。これは、「つくば」については起点ではありますが、それを名称に明示することは今後の地域的な広がりを限定してしまう印象を与える恐れがあり、さらに「nano」については、科学技術の基盤的な領域として定着しており、特記する必要性は薄れているとの認識からです。
なお、公式には「TIA」と表記を統一しますが、今後の活動の広がりに応じて、TIAを基軸とした表記も活用することとしています。例えば対象とする技術や取組み内容を明確に訴求する場合には、TIA-XXX(例 TIA-nano ナノテクノロジー、TIA-bio ナノバイオ等)の表記も用いて、効果的にブランドの向上を図っていきます。
これまでTIA-nanoで推進してきました企業と連携したオープンイノベーションの取組みは、引き続き強化します。さらに、イノベーションの芽を育てる知の創成(基礎研究)において、東大とTIA-nano中核4機関(国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)、国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)、国立大学法人 筑波大学、大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK))がこれまで個別に強く連携をしてきた取り組みをもとに、今後は中核5機関(産総研、NIMS、筑波大、KEK、東大)で資金を出し合って「連携研究テーマ」の探索的事業を組織的に行うこととします。具体的には、ナノバイオ計測や計算物質科学などの検討が進んでいます。こうした新たな枠組みを強固に推進し、中核5機関の多様な技術を融合させて、ナノバイオやIoTなどの大型研究プロジェクトの立案、企業連携、国際的な研究連携を企画・推進し、世界的なイノベーション拠点へと成長させていきます。
活動の見える化の第一歩として、4月より、TXつくば駅近くの「つくばセンタービル」、およびTX柏の葉キャンパス駅近くの「東京大学柏の葉キャンパス駅前サテライトビル」内に常駐事務局を設置し、利用者へのワンストップサービスを開始します。
※つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)とは
TIAの基盤となったつくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)は、産総研、NIMS、筑波大、KEKの4機関が協力して構築したオープンイノベーションの場です。一般社団法人 日本経済団体連合会(経団連)も運営に加わり、内閣府、文部科学省、経済産業省の支援を得て、ナノテクノロジー分野の研究、人材育成を推進しています。
平成21年の設立以来、33件の国家プロジェクトがTIA-nanoの場で実施され、200社の企業、1000名を超える企業研究者がそれらプロジェクトに参画してきました。大型の研究施設と企業が利用しやすい制度(出向制度、契約制度、設備稼働体制)を整備し、多くの企業と深く連携して研究開発を推進してきました。その中では、長く研究開発が行われてきたシリコンカーバイドパワーエレクトロニクスやカーボンナノチューブがようやく実用化に至り、企業が事業に着手しました。サマースクールを中心とする人材育成では、全国の学生、若手研究者がつくばに集える支援制度を整え、知的刺激の高い機会を提供してきました。