産総研:フォトアーカイブ エネルギー・環境

ニッケル水素電池の負極用合金20160609002

大阪工業技術試験所(当時)は1980年代半ば、新エネルギー技術研究開発「サンシャイン計画」の一環として、低コストで実用的な水素吸蔵合金の開発と、これらを負極に用いるニッケル水素電池の開発に乗り出しました。サイクル寿命を飛躍的に向上させた負極用合金や、充電時の水素発生を防ぐ表面制御技術を開発し、世界に先駆けて小型密閉電池や自動車用大型電池などを試作し、性能実証を行いました。

それまでの水素吸蔵合金は、アルカリ電解液中で充放電すると合金が激しく腐食し、サイクル寿命が短くなることや、充電時に水素ガスが発生して密閉化が困難になることなど、実用化を阻む多くの課題がありました。大阪工業技術試験所は、安価なミッシュメタル(希土類元素の混合体)やアルミニウム、少量のコバルトを含む組成の金属を、急冷凝固によって組織の微細化と均質化を図ることで、合金腐食を抑え、実用的なサイクル寿命をもつ負極用合金を開発しました。また、これら合金を電極化する際に、合金表面を銅やニッケルで被覆するなどの表面制御を行うことで、充電時の水素発生を防止できることを見出し、電池密閉化に道を開きました。これらの知見に基づいて、実用的な容量や寿命をもつ小型密閉電池や自動車用大型電池を開発するとともに、水素吸蔵合金評価法の標準化や電池リサイクル技術の確立なども行い、ニッケル水素電池の実用化を進めました。

今日、ニッケル水素電池は、安全で、かつ、高性能な二次電池として、各種携帯機器やハイブリッド車をはじめ、さまざまな分野で広く用いられ、人々の暮らしに欠かせないものとなっています。

ニッケル水素電池の負極用合金
画像サイズ 484×419(704KB)
整理番号 20160609002
領域 エネルギー・環境領域

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