ポイント
MEMS技術を用いて極薄センサーや回路チップをフレキシブル基板上に集積化する技術を開発し、フレキシブル面パターンセンサーを作製した。このセンサーを高速道路橋に貼り付け、車両通過に伴う橋梁の動ひずみ分布をモニタリングした。
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(a)開発したセンサーの全体像と拡大図、(b)(c)センサーを用いた鋼橋溶接部付近のひずみ分布測定の様子 |
背景
近年、老朽化橋梁数の増加に反して熟練の専門作業員が不足し、点検や経過観察が滞っている。ひずみセンサーを用いたひずみ分布測定は有望ではあるが、コスト高、施工性の悪さが問題である。産総研は無線MEMSセンサーを用いて土砂災害、インフラ、バイタルサインなどさまざまモニタリングシステムを開発している。機能性フィルム事業を展開する大日本印刷株式会社と共同で、屋外環境での耐久性を備え施工の容易な、橋梁のひずみ分布センサー開発に取り組んだ。
新たな成果
産総研の極薄フレキシブル基板実装技術と、大日本印刷㈱の保護フィルムと接着フィルムとの一体化技術を組み合わせて、現場で簡便に貼り付けられ、無線通信が可能なフレキシブル面パターンセンサーを開発した。橋梁上を車両が通過すると、このセンサーが橋梁と一体となってひずみ、動ひずみ分布を高感度で計測できる。
今後の展開
今後は、高速道路橋にセンサーを貼り付けて、ひずみ分布測定と屋外耐久性評価を行うとともに、補修・補強した橋梁の経過観察の実証試験を行う。また、大判の基板を用いることによる低コスト化についても検討を進める。
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