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つくばセンター ニュース

2020/02/25

産総研中性子解析施設(AISTANS)の開所式典等を開催
-中性子を活用した非破壊分析等産業利用の更なる発展を目指して-

概要

国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)は、新構造材料技術研究組合【理事長 岸 輝雄】(以下「ISMA」という)と合同で、ISMA中性子解析装置の披露式ならびに産総研中性子解析施設(略称;AISTANS)の開所式(以下、「式典」という)を2020年2月25日に開催しました。

産総研(大島永康 産総研研究グループ長兼ISMAテーマリーダー、友田陽 産総研招聘研究員兼ISMAテーマリーダー、木野幸一 産総研主任研究員らの開発チーム)はISMAに参画して、経産省所管のNEDO事業等において、構造材部品などの高度化のための小型中性子解析装置の開発に尽力し、本年1月に本装置の稼働が可能になりました。産総研つくばセンターの放射線管理区域内に設置した本装置に係る放射線安全管理などの運営を行う施設として、AISTANSを構築しました。

本装置を始めとする小型中性子施設を活用した産業利用等を今後益々発展させていくために、ISMAに参画している民間企業の方々等をご招待して、本装置の披露式ならびにAISTANSの開所式を同時に執り行いました。

式典では、遠山毅 経済産業省産業技術環境局研究開発課課長を始めとした御来賓の皆様から、本装置・施設を活用した非破壊分析をはじめとする産業応用への期待などに関して、御祝辞を頂くとともに、テープカットを施設内にて執り行いました。

続いて本装置の見学ならびに、小型中性子産業利用ワークショップを開催しました。見学では、本装置における最新の成果として、中性子による自動車用大型部品の透過イメージング像なども披露しました。ワークショップでは、本装置の詳細や実際に小型中性子装置を運用している機関(北海道大学、理化学研究所)での産業利用例のご紹介等をいただきました。民間企業の方々を中心に、鉄鋼等構造材料の材料解析や自動車部品等の非破壊分析などに対する中性子分析の活用方法やニーズなどの議論が交わされ、産業界からの期待の高さがうかがわれました。

産総研中性子解析施設の開所式の様子

AISTANS内でのテープカットの様子(向かって左から、友田陽ISMAテーマリーダー、三木幸信 産総研副理事長、岸輝雄ISMA理事長、遠山毅 経済産業省研究開発課長、 吉木政行 NEDO材料・ナノテクノロジー部長、松本隆 (株)日産アーク代表取締役常務)

今後の予定

本装置を含めた小型中性子装置の産業利用ネットワークを当該NEDO事業内で構築することなどにより、中性子分析を広く産業界においても簡便に利用できるユーザーフレンドリーな体制作りに取り組んでいきます。本装置は当該NEDO事業での利用を優先して行いますが、将来的には本事業以外の利用に関しても産業界中心に門戸を開いていく予定です。

概要図

小型中性子装置の産業利用ネットワークの概要

用語の説明

◆AISTANS
“Analytical facility for Industrial Science and Technology using Accelerator-based Neutron Source”の略称。[参照元へ戻る]
◆NEDO事業等
経済産業省事業「輸送機器の抜本的な軽量化に資する新構造材料等の技術開発事業」(事業予定期間:2013年度~2022年度)ならびに、NEDO事業「革新的構造材料等研究開発」(事業予定期間:2014年度~2022年度)を指す。[参照元へ戻る]
◆本装置の稼働が可能
NEDO・ISMA・産総研の共同プレスリリース “輸送機器の構造材料・部品分析向けに小型中性子解析装置を開発”(2020年1月22日付)を参照ください。[参照元へ戻る]
◆小型中性子装置の産業利用ネットワーク
本NEDO事業では、ISMAの組合員である産総研、ならびに再委託先である北海道大学と理化学研究所といった機関が有する小型中性子装置間における産業利用ネットワークの構築を目指しています。各装置でそれぞれ特徴とする中性子分析手法は異なっており、これらを活かすことで、ユーザーが必要とする情報が得られる最適な装置・手法等の選択などが可能な体制の構築を進めています。[参照元へ戻る]
国立研究開発法人産業技術総合研究所