平成28年2月12日(金)、産総研九州センター大会議室において、鳥栖市・佐賀県との共催で「産総研プレゼンツ・サイエンスカフェin鳥栖(第6回)」を開催しました。
今回は中部センター 構造材料研究部門 表界面研究グループグループ長 穂積篤氏による“生物の持つすごい機能に学んだ「はっ水/はつ油材料」”というタイトルでの話題提供で、一般の方、中学校の生徒さん、先生、保護者など50名を超す方々が参加されました。
前半では「ものが濡れる現象」そのものについてのお話しでした。
「濡れる・濡れない」ことによって、見た目では水滴になったり広がったりするが、これは表面張力のバランスの上に立っており、接触角という数値で説明ができるとのことでした。
また、表面の分子構造によって濡れやすさは左右されること、さらに表面を傾けた場合、液滴が動き出す場合とそうでない場合があり、液滴が表面を90°傾けても動き出さない写真を例として示し説明がなされました。
後半では、身近で見られる現象や、植物や昆虫などの表面さまざまな写真、顕微鏡写真を例にとってのお話しでした。
蓮の葉に付着する朝露が集まって水滴になる現象の理論的説明があり、海外の珍しい切手に示される昆虫の様子が目を引いていました。
また、「蓮の葉を油で濡らすとしっかり濡れてしまい、また、紫外線を照射すると蓮の葉は枯れてしまった」という実験結果には、皆が衝撃を受けていました。
この後こういった生物がもつ表面特性を工業的に応用されている例を具体的に示されました。ヨーグルトのカップのふたに付着物がないように加工することや、自動車のフロントグラスの水滴がつかないようにする加工も生物表面から学んだことであることの説明等が行われました。
また、表面の特殊加工の有無で、マヨネーズやケチャップが付着したままだったり、滑り落ちたりする映像はわかりやすく、歓声が上がっていました。
質問コーナーでは次々と手が挙がり、時間がいっぱいで打ち切られるほどの盛況でした。本番が終わったあとでも、講師を取り囲んでの質問は止まず、企業から来られていた方からは、製品作りに応用できないか等、熱心に相談があり、それに対しても最後まで熱心に答えておられました。