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先進パワーエレクトロニクス研究センター
大曲 新矢 |
平成27年7月24日(金)、産総研九州センター第2棟大会議室において、鳥栖市、佐賀県との共催で「産総研プレゼンツ・サイエンスカフェin鳥栖(第5回)」を開催しました。今回は、関西センター 先進パワーエレクトロニクス研究センター ダイヤモンド材料チーム 大曲新矢氏による「究極の半導体材料「ダイヤモンド」~見て、さわって、感じてみよう~」というタイトルでの話題提供で、中学・高校生、大学生を含む、50名の方々に参加していただきました。
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第1部ではダイヤモンドについて、ミクロの視点からの説明がありました。ダイヤモンドは炭素原子からなり、特殊な分子構造のため、さまざまな物性が現れるというお話しでした。体験では、各テーブルに分子模型キットのパーツが配られ、参加者自ら組み立てに挑戦しました。講師からコツが伝えられ、ピラミッド型の完成見本が示され、参加者の皆さんは炭素原子モデルから出る4本足のつなぎ方に悪戦苦闘しながらも夢中になって組み立てに挑戦し、いろんな形や大きさのものができあがりました。
第2部では、ダイヤモンドの物性に関するお話しがありました。特に「ダイヤモンドは硬いけど金槌でたたくと割れる」ということも参加者の皆さんには衝撃的なようでしたが、それも結晶構造模型での説明で理解され、また熱の伝わりやすさ(熱伝導率)が一般の材料と比べてとても高いというお話しもありました。
体験では、硬いものを代表する紙やすりでこすっても傷が付かないことで、人工ダイヤモンドの膜の硬さを実感してもらいました。また、人工ダイヤモンドの板を立てて氷の上に置くと、一瞬で小さな板が入り溶けていき、持っている指がすぐ冷えていくので、熱の伝わりやすさを体感した驚きの声があちらこちらから聞こえてきました。
休憩時間にはホールで、天然ダイヤモンドや大きなサイズの人工ダイヤモンドの展示も行われ、参加者の皆さんは珍しそうに見入っていました。
第3部では、人工ダイヤモンドの応用の視点で説明がありました。熱伝導率の高さも兼ね備えた優れた半導体材料なので、特に制御モジュールとして電気自動車等の多くの部分で使用されることで、エネルギーの効率的な利用につながり、将来的に重要な材料であるというお話しでした。
質疑の時間には、人工ダイヤモンドの性能と価格のことや、結晶性は人工の方が優れていて工業材料としても優れているが、天然ダイヤモンドには「自然のものである」という別の価値がある等の話題が上りました。