取材日:2017年3月1日
自社材料の再エネ分野への新事業展開を支援
当事業を知ったきっかけと応募理由をお聞かせください。
株式会社アサカ理研:
福島県再生可能エネルギー研究所立ち上げ前に高遠先生にはお世話になっており、産総研と何か出来ないかと相談したところ、開始予定のシーズ支援プログラムについて紹介していただいきました。弊社では、防汚を目的とした建材用の光触媒塗料の製造を行っています。この光触媒塗料は特にガラスと相性が良く、太陽光パネルの反射防止膜としても期待できたため、この光触媒の技術を活かして再生可能エネルギーの分野に進出できないかと考えました。それに伴い、最先端の太陽光パネルの研究機関である産総研と共同研究を行うため応募を検討しました。
当所研究者に技術的支援(具体的な取り組み)を受けた感想・効果をお聞かせください。
株式会社アサカ理研:
弊社には太陽光パネルに関する知識や知見がないため、技術的な相談が行えることや、専門的なアドバイスをいただけることで安心して開発に取り組むことが出来ました。また評価結果にどのような意味があるかなどの見解や、改善するべき課題のアドバイスをいただき効率的に開発を行うことが出来ました。
産総研と一緒にやることで御社内の研究活動や体制、技術者の意識などに何か変化などありましたか?
株式会社アサカ理研:
弊社では取り扱っていない最先端の装置や技術に触れ、技術者の知見が拡大しました。
研究の現状の課題に事業化状況について教えてください。
株式会社アサカ理研:
現状の課題・・・現在行っている実用サイズの太陽光パネルでの屋外暴露で良好な結果が得られるか。
事業化状況・・・生産設備は整っている状態。屋外暴露の結果が良好であれば、防汚のニーズ、市場を調査し、太陽光パネルメーカー等に営業活動を行う予定です。(パネルメーカーで需要があるのであればパネルガラスメーカーへ喚起していただく形。コート剤の納入先はパネルガラスメーカー)
製品評価について、評価方法の選定、検討の過程、得られた結果について感想をお聞かせください。
株式会社アサカ理研:
弊社ではどのような試験を実施すればよいか知見がないため、先生方に太陽光パネルのJIS規格の中から塗膜に関する試験を抜粋していただき試験を実施しました。試験のパラメータは先生方が太陽光パネルメーカーとの意見交換で得た情報を反映し、実用的な試験内容としました。
産総研の支援により、事業化予定の前倒し・加速などの効果はありましたか。
株式会社アサカ理研:
評価・結果に対する専門的なアドバイスをいただいたことで、開発を行うポイントが的確になり開発効率が上がったと感じられました。
技術的支援を受けた技術シーズについて、今後の取り組みと展望をお聞かせください。
株式会社アサカ理研:
屋外暴露試験を継続的に実施し、評価が良好であればパネルメーカー等に拡販を行っていく予定です。
事業化に向けて残っている課題に対して期待する支援を教えてください。
株式会社アサカ理研:
販路拡大に向けての支援。どういった方法で開発した製品をPRすればよいかアドバイスをいただきたい。
当事業についての意見や改善点または魅力など教えてください。
株式会社アサカ理研:
専門家に相談できることや、専門的なアドバイスがいただけることが魅力でした。
御社での公的支援制度の活用実績を教えてください。
株式会社アサカ理研:
資金面では補助金でのいわきの生産技術開発センターの設立、技術面ではハイテクプラザの装置の利用などがあります。
東日本大震災の後、御社で新たに取組んでいることはありますか?
株式会社アサカ理研:
新設したいわき工場で日本原子力開発機構と共同開発したエマルションフロー法を応用しレアメタル・レアアースの回収に取り組んでいます。
産総研又はFREAに望むこと、期待することはありますか?
株式会社アサカ理研:
最新のシーズ、ニーズの情報提供と、その技術の製品化、事業化までの支援を希望します。
今後、再エネの技術を活用したいと考えている(が、まだ踏み出せていない)企業の方へのメッセージをお願いします。
株式会社アサカ理研:
弊社のように再エネに関する知見や技術が無くても、太陽光パネル開発に携わる専門家に相談することができ、また最先端の設備も活用することができます。新たな技術に触れることで、新たな付加価値を企業の中に生み出すことができるかもしれません。是非一度、活用を考えてみてはがいかがでしょうか。
これまでの支援状況
太陽光発電分野
- 分子結合チタニアシリカを適用した太陽電池パネルおよび関連部材の性能評価(平成26年度)
- 分子結合チタニアシリカを適用した太陽電池パネルの性能評価および信頼性評価(平成27年度)
- 分子結合チタニアシリカを適用した太陽電池モジュールの屋外暴露評価(平成28年度)